高浜原発4号機が再稼働 新基準の再稼働は4基に 2016年2月26日

  • 8 年前
高浜原発4号機が再稼働 新基準の再稼働は4基に

2016年2月26日 17時03分

福井県にある高浜原子力発電所4号機は26日午後5時、原子炉を起動する操作が行われ、再稼働しました。これで新しい規制基準の下で再稼働したのは、2つの原発の4基になりました。
高浜原発4号機では26日朝から再稼働前の最後となる原子炉の核分裂反応を抑える制御棒の検査が行われ、検査は午後2時半に終わりました。そして午後5時、中央制御室で関西電力の副社長や、
原子力規制庁の検査官などが見守るなか、運転員が制御棒を核燃料の間から引き抜くレバーを操作して原子炉を起動し、再稼働させました。
作業が順調に進めば、高浜原発4号機は起動からおよそ13時間後の27日午前6時ごろに核分裂反応が連続する「臨界」の状態になり、今月29日には発電と送電を始め、その後徐々に原子炉の出力を高め、
来月下旬に営業運転に入る計画です。
4号機を巡っては今月20日、原子炉建屋の隣の建物で、放射性物質を含む冷却水が床などに漏れ、作業が一時中断するトラブルがあり、関西電力は設備に異常がないか慎重に確認しながら今後の操作を行うとしています。
新しい規制基準の下で再稼働したのは、川内原発の1号機と2号機、それに高浜原発3号機に続いて4基になりました。4号機では今回初めて、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを
混ぜたMOX燃料を使うプルサーマルが行われています。新基準の下でのプルサーマルの実施は3号機に次いで2基目となります。

・官房長官「関西電力は一層気を引き締めて」

菅官房長官は午後の記者会見で、「関西電力は、今回のトラブルを十分に教訓にして、安全第一で取り組まなければならないということは当然のことだ。関西電力は一層気を引き締めて、安全第一のプロセスを
しっかり進めてほしい」と述べました。

・地元商工会長 経済の先行き見通せるように

高浜町商工会の田中康隆会長は、高浜原発3号機に続き、4号機の再稼働で経済の先行きが見通せるようになり、商工関係者の間で安心感が広がっているとの見方を示しました。
田中会長は「原発の停止期間中は、将来に対する不安から設備投資などができない状態だった。13か月後の定期検査のときには、人口1万人の町に2000から3000人の作業員がやってくる。
その人たちの消費活動が、宿泊などあらゆる面で広がる」と述べ、今後の地元経済に与える効果に期待を寄せました。
一方で関西電力に対しては、「日々、安全性を向上させる努力を続けてほしい」と述べ、安全の確保を第一に原発の運転を続けるよう求めました。

・市民グループ 再稼働の中止を申し入れ

高浜原子力発電所3号機と4号機の再稼働について、福井県内の原発に反対する市民グループが関西電力に再稼働を中止するよう申し入れました。&&&。申し入れを行ったのは原発に反対する3つの市民グループの
メンバー7人で、26日昼前、福井県美浜町にある関西電力の原子力事業本部を訪れました。市民グループは「原発が集中的に立地することによる事故の危険性は検討されていない。
事故が起きた場合、被害は京都や滋賀などにも及ぶが、避難計画などの対策も不十分なままだ」などと訴え、関西電力に原発の再稼働を中止するよう申し入れました。これに対し、関西電力の担当者は
書面を受け取ったうえで、「本社と情報共有したい」と答えていました。申し入れを行った林広員さんは「住民説明会の開催などを訴えてきたが聞き入れられず、住民の不安が取り除かれないままの再稼働は論外だ。
福島の住民がいまだに避難している現状を踏まえ、国や電力会社にはしっかり対策を取ってもらいたい」と話していました。

・全国各地の原発は今

東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと作られた新しい規制基準の下、これまでに原子力規制委員会には全国の原発の半数以上にあたる16原発26基で審査の申請が出され、このうち2つの原発の4基が再稼働しました。
審査はいち早く申請されたPWR=加圧水型と呼ばれるタイプの原発が先行しています。申請のあったPWRの8原発16基のうち、これまでに、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、福井県にある
高浜原発3号機と4号機、それに愛媛県にある伊方原発3号機の3原発5基が審査に合格し、川内原発の2基と高浜原発の2基の合わせて4基が再稼働しました。
伊方原発は、去年7月に審査に合格し、耐震性など設備の詳しい設計の確認が行われていますが、その後の検査も必要になるため、再稼働はことしの夏以降になる見通しです。
また、運転開始から40年がたつ高浜原発1号機と2号機は、原則40年に制限された運転期間の延長を目指す原発としては初めて、24日に審査に事実上合格したことを示す審査書の案が取りまとめられ、
ことし7月までに詳しい設備の設計の審査などに合格できるかが焦点となります。
運転開始から39年がたち、同じく運転期間の延長を目指す福井県にある美浜原発3号機は、ことし11月末までに審査に合格する必要がありますが、新しい耐震評価の方法などを巡る議論が続いていて
期限までに審査が終わるか見通せない状況です。
このほかのPWRでは、北海道にある泊原発3号機、佐賀県にある玄海原発3号機と4号機、福井県にある大飯原発3号機と4号機の審査がおおむね終盤に入っていますが、いずれの原発も審査での指摘を反映して
修正した書類を提出しておらず、合格の具体的な時期は見通せない状況です。
福井県にある敦賀原発2号機は、焦点となっている真下を走る断層の活動性から議論を始めることにしていて、審査は始まったばかりです。
一方、事故を起こした福島第一原発と同じBWR=沸騰水型と呼ばれるタイプの原発は、これまでに8原発10基で審査が申請されています。
新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発6号機と7号機を巡っては、重要項目の地震の揺れや、敷地内の断層に活動性がないことが了承され、審査は終盤に入っていて、沸騰水型の原発の中で最も早く合格する可能性があります。
そのほかは、まだ中盤から序盤の段階です。

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