ZDF『コロナは私たちの社会を変えるか?3-2』

  • 4 年前
哲学者プレヒトと社会学者レクビッツの対談『コロナは私たちの社会を変えるか?3-2』では、ブレヒトはコロナ危機を人々が共同体や社会の幸せのために個人の自己啓発を取り戻す可能性に言及し、その上に新しい社会が創られなくてはならないと考えている。
これに対してレクビッツは、現在の後期現代社会では集団化から個人化に向かっており、今回のコロナ危機での人々の集団行動は個人のリスク計算浸透によるもので、コロナ以降まったく新しい社会が創られることに意義を唱えている。
そして現在の新自由主義の規制緩和で失われた国家機能を、国家規制を強力に取り戻すことで再生強化される社会を説いている。
しかもそのような社会は、計画的に創り出さなければならないと述べている。
それは私からすれば、格差と貧困の解消を最優先して掲げる欧州社会民主主義の再生であり、失われた様々な公共分野から生活必需品に至るまで国家規制強化で、途半ばの社会民主主義の格差と貧困のない社会を目指す社会学者の声に聞こえる。
確かに社会民主主義はグローバル化によるボトム競争の下降スパイラルで踏みにじまれてしまったが、コロナ危機でグローバル化が機能するなかで再生復活の可能性は高いだけでなく、包括的に考えれば必然的に行き着く途であり、コロナ以降の辿り得る新しい社会という見方もできよう。
そのような視点で見れば、二人の考えるコロナ以降の社会は一見大きく異なっているように見えるが、ブレヒトの“共同体や社会の幸せ”には格差と貧困の解消が含まれていることから考えれば、二人の考えるコロナ以降の社会は違いはないないように見えるが、さらに議論はどのように展開するか興味深い。

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