I Parry Everything What Do You Mean I'm the Strongest? [Episode 1 - 4]

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I Parry Everything What Do You Mean I'm the Strongest? I'm Not Even an Adventurer Yet!
Episode 1 - Episode 4

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00:00:00よくわからないけど ステラおばさんのおかげで 今日もよかった
00:00:05おかげで 今日もよかった
00:00:09ヘタレ
00:00:10ヘタレ
00:00:12ヘタレ
00:00:13ヘタレ
00:00:14ヘタレ
00:00:15ヘタレ
00:00:16ヘタレ
00:00:17ヘタレ
00:00:18いつもありがとう ノールちゃん
00:00:21こちらこそ いつも依頼してくれてありがとう ステラおばさん
00:00:25ヘタレ
00:00:26ヘタレ
00:00:28またよろしくね ノールちゃん
00:00:48お疲れさん
00:00:50ノール お前さんのおかげで だいぶ後期に余裕ができたよ
00:00:54そうか よかった
00:00:58な 何だ
00:01:01誰か 助けてください
00:01:05な おい ノール
00:01:18でかい 牛
00:01:22深く息を吸って 誓ってみた空は
00:01:27鮮やかに青く染まり
00:01:30Hang out to the world
00:01:41孤独を背負ったら 浮かんでくる矛盾
00:01:46ひるがえつ用事さえも 与えられないほどに
00:01:51何を見つけたくて 何をつかみたくて
00:01:56がむしゃらに追いかけてく 振り返らずに
00:02:04それが戻れない使命でも
00:02:08起こる旋律に納得しない
00:02:13表たうらかい極めてやろう
00:02:18弱さゆえに気づいた 強さをかませ
00:02:23叫べ 何度でも 未来へ覚醒する前に
00:02:28心と身体 燃えてみたとき
00:02:33みなぎる力が 勇者を目指すから
00:02:38僕なら ただに解ける Never look back
00:02:53僕なら ただに解ける Never look back
00:03:21はい 母さん
00:03:23暑いかも
00:03:25ゆっくりね
00:03:28ちょうどいい ありがとう
00:03:31ヤギの食事の時間だ
00:03:33丘まで連れて行かないと
00:03:35ノール
00:03:37わかってる
00:03:38あの石の向こうにはいかないよ
00:03:40約束
00:03:42後でノウサギと木の実取ってくれ
00:03:44スープにしよう
00:03:50待ってて もうちょっとお湯作るから
00:03:53ノウル
00:03:56何?
00:04:06何もしてあげられなくてごめんなさい
00:04:10せめて あなたの望む生き方をして
00:04:24スープできたよ
00:04:29母さん
00:04:35母さん
00:04:38母さん
00:05:23ノウル そろそろ寝なさい
00:05:49今日は何のお話?
00:05:51冒険者のお話だ
00:05:53冒険者って?
00:05:55そうだな
00:05:57ある時は仲間と一緒に巨大な竜を倒し
00:06:01ローマ術師に魔法を教わり
00:06:03森にかけられた呪いを解き
00:06:06精霊の王から慢病を癒す薬を手に入れる
00:06:11どんな困難があっても
00:06:13仲間のために剣を振って悪を倒す
00:06:16それが冒険者だ
00:06:18聞きたい 聞きたい
00:06:20よし どの話からにしようか
00:06:24冒険者
00:06:27せめて あなたの望む生き方をして
00:06:39一度に食べちゃダメだぞ
00:06:45父さん 母さん
00:06:48俺 生まれて初めて町に降りるよ
00:06:52俺は冒険者になる
00:06:57行ってきます
00:07:21あなた
00:07:51ありがとう
00:08:22ここだ
00:08:29ここは子供の来るとこじゃねえ
00:08:32さっさと家に帰んな
00:08:35門の兵士さんがここに来れば冒険者になれるって
00:08:39馬鹿言ってねえで
00:08:41親が心配してるぞ
00:08:43死んだよ 二人とも
00:08:47親なしか
00:08:48仕方ねえな
00:08:50名前は
00:08:51ノール
00:08:52ノールか
00:08:54だったらクラスの養成所に行くか
00:08:57お前みたいな子供が行くのは前例がないんだが
00:09:01何それ
00:09:03いいか オートの冒険者ギルドへの登録志願者は
00:09:07法律の養成所でクラス つまり職業の訓練を受けられる
00:09:12冒険者になりたきゃ まずはスキルを身につけてこい
00:09:15スキル?
00:09:16剣の技とか魔法とか そういうもんだ
00:09:20行きます
00:09:23ソードマン
00:09:26物語の英雄はたった一振りで山のように大きな竜を倒した
00:09:45やったー
00:10:00そこまでだ ノール
00:10:02残念だが
00:10:03待て もう少しだけ
00:10:05だめだ これ以上は君の時間を無駄にする
00:10:09ここまでで覚えたのは攻撃を弾くパリィのみ
00:10:13おそらく君は別の道に進んだ方がいい
00:10:17他の養成所ならば君の才能を見出せるかもしれん
00:10:24ウォリアー
00:10:26あらゆる武器で戦いながら
00:10:28体を張って仲間の盾になる
00:10:31冒険者っぽいぞ
00:10:44努力は認めるが
00:10:46身につけられたのは身体能力をわずかに上げることだけだ
00:10:50このまま無理に進めばすぐに命を落とすことになる
00:10:56あんた
00:10:58あんたには繊細な道具を扱うセンスが絶望的にない
00:11:04シーフ
00:11:05宝箱の罠も解除できず
00:11:07気配も察知できない石膏などお話にならない
00:11:11マジシャン
00:11:13ほっほ
00:11:14ここまでやってもプチファイア一つとはの
00:11:18お前さんほど魔法の才に恵まれないものも珍しい
00:11:25クレリック
00:11:34かすり傷を癒す程度とはいえ
00:11:37幼少期の祝福なしでローヒールを使えるようになっただけでも
00:11:41すごいことなんですよ
00:11:49まともなスキルが身につかなかった
00:11:52すべての養成所で満期の3ヶ月間訓練して
00:11:56一つもか
00:12:01ノウル
00:12:02すまんが
00:12:03それじゃあ
00:12:04冒険者の登録はしてやるね
00:12:09俺には
00:12:11才能がなかった
00:12:19ただいま
00:12:20父さん
00:12:21母さん
00:12:22俺には本当に何の才能もない
00:12:25それがはっきりした
00:12:28なら
00:12:29その分もっともっと努力して
00:12:31訓練するしかない
00:12:35ソードマンの先生が言っていた
00:12:38一つのスキルを鍛錬すれば
00:12:40新しいスキルを習得できるかもしれない
00:12:44バリー
00:12:48ソードマンの養成所で身につけた
00:12:50俺のスキル
00:12:54鍛錬するんだ
00:12:55朝も
00:12:56昼も
00:12:57夜も
00:13:05一息で10本は弾けるようになった
00:13:09新しいスキルはまだだけど
00:13:11成長はしてる
00:13:21一息で100本
00:13:23だがまだ新しいスキルも
00:13:24習得できていない
00:13:28ソードマンの養成所で
00:13:30だがまだ新しいスキルも
00:13:32習得できていない
00:13:36こんな状況じゃ
00:13:37冒険に出るなんて
00:13:38夢のまた夢だ
00:14:01もっと努力を
00:14:04もっと厳しい鍛錬をしなければ
00:14:20この14年
00:14:22一日も欠かさず鍛錬をして
00:14:241000本の墓剣を弾けるようになった
00:14:30それでも
00:14:32新しいスキルは
00:14:40最後に
00:14:41もう一度だけ
00:14:46バリー
00:14:47身体強化
00:14:48投石
00:14:49忍び足
00:14:50ブチファイア
00:14:52ローヒール
00:14:53あのー
00:14:55本当にこれでお間違いないでしょうか
00:14:57それで全部だ
00:14:59では
00:15:00王土の養成所の制度はご存知ですか
00:15:02ここ王土では
00:15:03誰でも優れた教官から
00:15:05知っている
00:15:06全部受けたからな
00:15:08全部
00:15:09そうなりますと
00:15:12やはり登録はできないのか
00:15:15本当にすみません
00:15:16いや
00:15:17君が謝ることじゃない
00:15:23本当にできないか
00:15:26おいおい
00:15:27うちの新人よ
00:15:28あまりいじめてくれるなよ
00:15:30マスター
00:15:32おじいさん
00:15:33久々だな
00:15:35俺は
00:15:36お前なんか知らねえ
00:15:38いや
00:15:39ちょっと待て
00:15:41まさか
00:15:42ノールか
00:15:46ならお前
00:15:47ずっと一人で訓練を続けてたのか
00:15:50ああ
00:15:51でも結局
00:15:53バリーが少し上達しただけだったよ
00:15:56いいかノール
00:15:58冒険者には
00:15:59ランクってのが存在する
00:16:01最高のSランクから
00:16:02最低のEランクまで
00:16:04そのEランクの認定条件が
00:16:06有用スキルが一つ以上あるってことだ
00:16:10だが
00:16:11お前にはそれがない
00:16:13やはり諦めるしかないんだな
00:16:18ただ
00:16:19全く方法がないわけじゃない
00:16:21本当か
00:16:22実は
00:16:23Eランクよりも下がある
00:16:25下?
00:16:26関係者にもほとんど知られてねえ
00:16:28ランガイのFランクだ
00:16:30それなら登録できるのか
00:16:32ただし
00:16:33俺には条件がある
00:16:35討伐系の依頼や
00:16:37街の外に出るような採取クエストは
00:16:39受託禁止
00:16:40受けられるのは
00:16:41街中の雑務クエストだけだ
00:16:44そんな依頼を受けるために
00:16:46わざわざ冒険者になるバカはいねえだろ
00:16:49うちに仕事の圧戦量を持ってかれちまうしよ
00:16:52ま、もともとは街の物恋に仕事を
00:16:54それでいい
00:16:56お前
00:16:57人の話聞いてたか
00:16:59構わない
00:17:00登録してくれ
00:17:07Fランクの冒険者ライセンスだ
00:17:14ありがとう
00:17:15恩に切れよおじさん
00:17:21身体強化
00:17:24身体強化
00:17:29忍び足
00:17:37ローヒール
00:17:49プチファイア
00:17:55投石
00:18:09冒険者になって
00:18:11人の役に立ちたいという夢は叶ったんだ
00:18:14これ以上は贅沢かもしれないな
00:18:32またよろしくねノールちゃん
00:18:37お前
00:18:38お前
00:18:39お前
00:18:40お前
00:18:41お前
00:18:42お前
00:18:51お疲れさん
00:18:52ノール
00:18:53お前さんのおかげでだいぶ後期に余裕ができたよ
00:18:57そうか
00:18:58よかった
00:19:02なんだ
00:19:08おいノール
00:19:13
00:19:17でかい
00:19:18
00:19:21本でしか見たことなかったか
00:19:23実物はこんなにでかいのか
00:19:38囲んで動きを封じろ
00:19:40必ずお守りするんだ
00:19:43
00:19:51そっちに注意を逸らせろ
00:19:54大丈夫か
00:19:56行くわ
00:20:06これではいかがれる
00:20:12
00:20:28投石
00:20:39今のうちに
00:20:43早い
00:20:50バリ
00:21:00バリ
00:21:03なんて重さだ
00:21:05一発でも当たれば死ぬ
00:21:08どこにも反撃の隙が
00:21:12いやあったとしても
00:21:13俺には攻撃スキルがない
00:21:18あの子
00:21:20まだいる
00:21:31忍びやすい
00:21:42たとえ
00:21:44たとえ冒険団の主人公になれなくても
00:21:47目の前で怯える少女くらいは守りたい
00:21:51どんな困難があっても仲間のために
00:21:54弱い人たちのために
00:21:56剣を振るって悪を倒す
00:21:59それが冒険者だ
00:22:05バリ
00:22:13バリ
00:22:25危なかった
00:22:27あれ以上はとてもではないが
00:22:29持たなかった
00:22:32俺はこの程度で
00:22:34世界を旅して冒険に出たいなどと
00:22:38あ あの
00:22:39あの
00:22:41ありがとうございます
00:22:42おかげで助かりました
00:22:45よかった
00:22:47彼らは残念だったか
00:22:51あの よろしければお名前を
00:22:53いや 名乗るほどのものじゃない
00:22:56待ってください
00:22:59お無事でしたか
00:23:01はい 私は
00:23:10魔物ですらない
00:23:12街中の虫一頭でさえ
00:23:15こんなにも
00:23:17勝利だなんて
00:23:21まだまだ
00:23:23鍛錬が必要だ
00:23:39リンデブルグ様
00:24:10お怪我は
00:24:12私は大丈夫です
00:24:14申し訳ございません
00:24:16やはり私も同行すべきでした
00:24:18王位継承の儀の試練に
00:24:20護衛がいては意味がない
00:24:22そう強く言ったのは私自身です
00:24:24イネスに火はありません
00:24:27ごめんなさい 心配をかけました
00:24:31リンデブルグ様
00:24:33ダルケンさん
00:24:35すぐに城へ戻りましょう
00:24:37レイン様がお話を聞きたいと
00:24:39分かりました
00:24:42リーンと話した
00:24:44確かなのか
00:24:46ミノタウロスが街中で召喚されたというのは
00:24:49迷宮の最深層
00:24:51アビスに棲む魔物だぞ
00:24:53間違いありません
00:24:55つまり人為的なものということか
00:24:57おそらくは
00:24:59その場にあった商人の遺体が身につけていた
00:25:01指輪が発生源と思われます
00:25:04魔性王権が調べたところ
00:25:06指輪にはめられた魔石は
00:25:07極めて純度の高いもので
00:25:09地上には出回らない
00:25:11企画外の品だそうです
00:25:16ミノタウロスは脅威度特Aの魔物
00:25:20それを封じる者など
00:25:22そこらの試算家が準備できるものではない
00:25:25王権によれば
00:25:27魔石に残された魔法門から
00:25:29指輪の出所は
00:25:31魔導皇国デリダスであろうと
00:25:34やはりデリダスか
00:25:35これまでも度々の嫌がらせはありましたが
00:25:37ああ
00:25:39召喚と同時に
00:25:41王女を結界で拘束する念の入り王
00:25:44そしてその証拠を消そうともしていない
00:25:47つまり
00:25:49敵の狙いは
00:25:51リンネブルク様の暗殺だけでなく
00:25:53その先
00:25:55我が国から戦争を仕掛けるのを待っているんだ
00:26:00奴らはどうしても手に入れたいらしいな
00:26:01我が国の迷宮資源
00:26:03帰らずの迷宮の遺物を
00:26:08それと
00:26:10リーンを助けたという男のことだが
00:26:13ルロードソード一本
00:26:15しかも数十秒でミノタウロスを倒し
00:26:18その後に隠密兵団が足取りを追ったが
00:26:20見失った
00:26:22とある
00:26:24目の前から幻のように書き消えたとの報告が
00:26:26見失った
00:26:27あり得ない
00:26:29何者なのだ
00:26:31その男は
00:26:45ノール
00:26:47お前生きてたか
00:26:49どうした
00:26:51どうしたじゃねえよ
00:26:53何を
00:26:55何を
00:26:57昨日の夜
00:26:59迷宮の入口近くで魔物が出た
00:27:01ここいらじゃ早々見かけない化け物だ
00:27:03
00:27:05工事現場に近いところだったし
00:27:07仕事終わりに顔出さねえもんだからよ
00:27:09心配したぜ
00:27:11すまん
00:27:13昨夜は怪しい格好の集団に付け回されてな
00:27:16疲れて家に帰ったんだ
00:27:18何だそりゃ
00:27:20その汚れは
00:27:22今朝のドブさらいを済ませてきた
00:27:25とにかく
00:27:27魔物に出くわさなかったのは
00:27:29運がよかったな
00:27:31元Aランクの俺だって
00:27:33出くわしたら即死だぞ
00:27:35そんなに恐ろしい魔物か
00:27:40牛でよかった
00:27:42それでその魔物はどうなったんだ
00:27:44それが
00:27:46正体不明の男に倒されたらしい
00:27:48しかも一撃でだ
00:27:50そうか
00:27:52世の中にはすごい人間がいるものだな
00:27:55ほらよ
00:27:57お腹空き分だ
00:27:59ありがとう
00:28:01
00:28:03まだまともな仕事につく気にはならねえのかよ
00:28:05まともな
00:28:07俺はもう冒険者として働いているだろ
00:28:09あのなノール
00:28:11何度も言うが
00:28:13うちが噛まなきゃ
00:28:153割増しぐらいで稼げてるはずなんだぞ
00:28:17見つけました
00:28:21やっと
00:28:23君は昨日の
00:28:25失礼かと思ったのですが
00:28:27どうしてもお会いしたくて
00:28:29遠隔探知系のスキルで
00:28:31あなたを探させていただきました
00:28:33ということは
00:28:35君はシーフ系の職業なのか
00:28:37いえ
00:28:39基本とするのは本来マジシャン系です
00:28:41他は一通り
00:28:436系統のスキルをまんべんなく
00:28:45すごいな
00:28:47どれもたしなみ程度のものです
00:28:49あなたのような方を前に
00:28:51お恥ずかしい限り
00:28:53そんなことはないだろ
00:28:55おいあれ
00:28:57あの
00:28:59人目もありますから
00:29:01外でお話ししませんか
00:29:03お前何やらかした
00:29:05いや
00:29:07責められるようなことは何もしてないぞ
00:29:09この時間ならまだ人は少ないですし
00:29:11シャオンと
00:29:13隠ぺいスキルで
00:29:15外にお話は漏れないようにしますから
00:29:17行ったほうがいいのか
00:29:19行ってこい
00:29:21くれぐれも早々のないようにな
00:29:23よくわからんがわかった
00:29:27まったく
00:29:29本当にいるのかそんな男
00:29:31隠密兵団が探せなかったやつなんか
00:29:33見つけられねえよ
00:29:35誰かを探しているようだな
00:29:37大丈夫です
00:29:39見えてません
00:29:42この度は
00:29:44突然のご無礼をお許しください
00:29:46ギルドマスターとのお話中に
00:29:48外に出ろなどと
00:29:50あなたは
00:29:52あなたは
00:29:54あなたは
00:29:55お話中に外に出ろなどと
00:29:57いや別に気にしてないぞ
00:29:59それで
00:30:01俺なんかに何の用だ
00:30:03ちゃんと御礼を伝えたかったのです
00:30:05私の命を救ってくださり
00:30:07本当にありがとうございました
00:30:09あなたは
00:30:11私の命のみならず
00:30:13多くの国民の命を救ってくれたも
00:30:15当然なのですから
00:30:17大げさだな
00:30:19君は優秀なスキル持ちだ
00:30:21逆に差し出がましいことを
00:30:23してしまったかもしれない
00:30:25あなたが駆けつけてくれなければ
00:30:27私などどうなっていたことか
00:30:29それなら
00:30:31気持ちだけ受け取っておこう
00:30:33私としては
00:30:35今回の件に関して
00:30:37できる限りの謝礼を
00:30:39お渡ししたいと思っています
00:30:41火災を動員しての
00:30:43心からの謝礼をさせていただきたいと
00:30:45いやさっきの言葉で十分だぞ
00:30:47本当にそれ以上はいらない
00:30:49いいえ
00:30:51ちゃんとしたお礼をさせてください
00:30:53父もあなたにお会いして
00:30:55お礼が言いたいと申しております
00:30:57本当にもう十分だ
00:30:59私はこれでも立場ある人間
00:31:01命を救ってくださった恩人に
00:31:03何もせずにいるなど
00:31:05いやいらない
00:31:08では何かお困りのことはないですか
00:31:11困っていない
00:31:13だから
00:31:15お嬢様が両親などの相談にも
00:31:17すまないが本当に何もいらない
00:31:19でも
00:31:21なぜ泣く
00:31:23いけません
00:31:25あなたにはお礼を受け取る義務があるのです
00:31:27義務
00:31:29お礼を受け取る返事をいただくまで
00:31:31私はここを動きません
00:31:49訓練を受けさせてもらえるまで
00:31:51ここを動かない
00:31:56分かった
00:31:58君のお父さんに会うだけなら
00:32:00本当ですか
00:32:02だが大げさな礼など
00:32:04必要ないからな
00:32:06はい
00:32:08では私のすぐ後ろに
00:32:10ついてきていただけますか
00:32:12
00:32:14はいあまり人目につきたくありませんので
00:32:16隠蔽や探知遮断など
00:32:18身を隠します
00:32:26でかいな
00:32:28これが君の家なのか
00:32:30はい
00:32:32少し一般的な作りではないと思いますが
00:32:34中へどうぞ
00:32:45そういえば
00:32:46まだお名前をお伺いしていませんでしたね
00:32:48俺か
00:32:50ノールだ
00:32:52ノール様ですね
00:32:54君の名前は
00:32:58失礼しました
00:33:00こちらが名乗るのをすっかり忘れていましたね
00:33:03リンネブルグ
00:33:05クレイスと申します
00:33:07長い名前なので
00:33:09冒険者としては
00:33:11リンという名前で通しております
00:33:13お気軽にリンと呼んでくだされば嬉しいです
00:33:17しかし本当に広い家だ
00:33:19いわゆる資産家や貴族というやつなのだろう
00:33:22くれぐれもそそうのないようにな
00:33:24あれはこういうことだったのか
00:33:30ちょうどいい
00:33:32彼女にお父様の居場所を聞きましょう
00:33:34お帰りなさいませ
00:33:36リンネブルグ様
00:33:38イネス
00:33:40リンネブルグ様
00:33:42リンネブルグ様
00:33:44リンネブルグ様
00:33:46お父様にお会いしたいのですが
00:33:48ただいま
00:33:50一見の間にてレイン様とお話を
00:33:52そちらの男性は
00:33:54私のお客人です
00:33:56例の襲撃から身を転して私を救ってくれました
00:34:00承知しました
00:34:02私が先導してご案内します
00:34:04この家のメイドさんなのだろうか
00:34:07掃除や洗濯がやりにくそうな格好だが
00:34:13ずいぶん警戒されている
00:34:16らしい
00:34:30こんな時間にどうした
00:34:32イネス
00:34:34リンネブルグ様まで
00:34:40なんだか物騒な家だな
00:34:42この男は何だ
00:34:44ギルバート
00:34:46ごめんなさい
00:34:48こちらのお方はリンネブルグ様のお客人です
00:34:50リンネブルグ様のお客人
00:34:53じゃあ
00:34:55お前が例の奴なのか
00:35:00でもあんまりそうは見えねえな
00:35:03失礼な物言いはやめなさい
00:35:05それとお前も一見に同行を
00:35:08護衛は多い方がいい
00:35:17分かった
00:35:18俺も行く
00:35:25ベリダス
00:35:27もはや不可侵条約などお構いなしだな
00:35:31さっきの要求も明らさまでした
00:35:34迷宮の権利を全てよこせ
00:35:37我が皇国が武力を貸し出せば
00:35:40お前の立場も多少は良くなるぜ
00:35:43ありがたい話だが
00:35:45下手な提案を飲んで国を失うのはごめんなのでな
00:35:50その言葉忘れるでないぞ
00:35:54潜んでいる脅威は
00:35:56今回の件だけではないのかもしれません
00:35:59いよいよかもしれんな
00:36:05お兄様
00:36:07リンか
00:36:08お父様
00:36:10うん
00:36:15あの人がリンのお父さんか
00:36:20リン
00:36:21そのローブは忍者のローブ
00:36:23あさかお前
00:36:24外に出ていたのか
00:36:26どうしても恩のある方は
00:36:28自力で探したかったものですから
00:36:31その男性はもしや
00:36:33はい
00:36:34このお方が私を救ってくれた方です
00:36:37こんな格好ですまない
00:36:39リンが急ぎたいというものでな
00:36:40格好など構わんよ
00:36:44わざわざ即労をかけてすまなかった
00:36:47先に言っておくが
00:36:49俺は貴族でもなんでもない
00:36:51こういう場での礼儀などは知らないし
00:36:53無礼になるようなことをするかもしれない
00:36:55それでもいいか
00:36:59むしろそういう方が話しやすくていい
00:37:02改めて礼を言わせてくれ
00:37:05お父様
00:37:06お父様
00:37:07改めて礼を言わせてくれ
00:37:12貴公の働きがなければ
00:37:14我が娘はすでにこの世になかった
00:37:17本当にありがとう
00:37:19ああ
00:37:20なんでもないことだ
00:37:22その言葉だけで十分だ
00:37:24よし
00:37:25これで礼は受け取ったぞ
00:37:27風呂に寄って帰ろう
00:37:29とはいえ
00:37:30恩人を手ぶらで返すわけにもいかんな
00:37:33
00:37:34領地でも金でも
00:37:35好きなものを言ってくれ
00:37:37できる限りの報奨を出そう
00:37:39何か望みはないか
00:37:42いや
00:37:43そういう望みはない
00:37:46そうか
00:37:48金や土地はいらないか
00:37:51では
00:37:52迷宮さんの財宝はどうだ
00:37:55我が国は世界最古の迷宮を擁する国家だ
00:37:59迷宮から発掘された
00:38:01ありとあらゆる珍品が
00:38:03宝物殿に保管されている
00:38:06しまい込んであるものの半分ぐらいなら
00:38:08持っていってよいぞ
00:38:10父上
00:38:11そこまでは
00:38:12すまないがそれもいらない
00:38:15豪華な礼の品など本当にいらないんだ
00:38:18さっきの言葉だけで十分すぎるぐらいだ
00:38:22財宝もいらないか
00:38:24であれば何が
00:38:28抜け出せない
00:38:36ならば
00:38:39これなどでどうだ
00:38:42これは
00:38:43剣か
00:38:45そうだ
00:38:47少しばかり見た目は悪いがな
00:38:49父上
00:38:50それは
00:38:51よいではないかレイン
00:38:53現役を退いた今となっては
00:38:55もはやただの飾りだ
00:38:58ここで眠らせておくよりはずっといい
00:39:01ですが
00:39:03前に作ったあれだけ
00:39:05レプリカと入れ替えておけば
00:39:07誰も気づかんよ
00:39:11さあ
00:39:19意外に重いな
00:39:24これは相当大事なものではないか
00:39:27だったら受け取れないが
00:39:29いやいや
00:39:30単に私が旅先で拾って
00:39:32気に入って使っていたものだ
00:39:33拾った
00:39:35要は私のオフルだ
00:39:37それくらいなら受け取ってくれるか
00:39:42ならありがたく受け取ろう
00:39:45どれ
00:39:46試しに振ってみてくれんか
00:39:50身体強化
00:39:53効果は
00:40:04重いな
00:40:05だが振れないほどでもない
00:40:09そうか
00:40:10片手で振れるか
00:40:12そいつは本当に頑丈だぞ
00:40:15では使わせてもらおう
00:40:17それと
00:40:18娘のことなんだが
00:40:20君さえおければ
00:40:21少しばかり鍛えてやってくれないか
00:40:24最近どこも物騒でな
00:40:26いささか心配なのだ
00:40:28俺がリーンを
00:40:29いや
00:40:30彼女に俺が教えられることなど
00:40:32何もないし
00:40:34そういうのは本人が決めることだろ
00:40:36あまり親が娘に干渉しすぎるのも
00:40:38よくないと思うぞ
00:40:40それもそうだな
00:40:45よく笑う人だ
00:40:47では
00:40:48俺はそろそろ
00:40:49ああ
00:40:50引き止めて悪かったな
00:40:52リーンの父として
00:40:53改めて礼を言おう
00:40:57この重さは
00:40:58鍛錬にもってこいだが
00:41:02なんだか大事そうな物を
00:41:03もらってしまった気がする
00:41:07待てよ
00:41:08この剣
00:41:10ステラーおばさんの
00:41:11家の速攻と
00:41:12同じくらいの幅なのでは
00:41:15これなら動物さらいの
00:41:16効率も上がるかもしれない
00:41:19明日早速使ってみよう
00:41:21客人
00:41:23話がある
00:41:24もう少しだけ時間をいただきたい
00:41:27怒られるのだろうか
00:41:31私はこちらの非礼を
00:41:32詫びさせて欲しい
00:41:34先ほどまでの態度は
00:41:36リンネブルグ様の恩人に
00:41:37対する物ではなかった
00:41:39どうか
00:41:40許してもらいたい
00:41:41いや
00:41:42俺は気にしていないぞ
00:41:44いいから顔を上げてくれ
00:41:46謝罪の受け入れに感謝する
00:41:48我らの仕事は
00:41:50クレイス家の人間を
00:41:51全ての危険から守ることなのだ
00:41:54客人への気配りは
00:41:55後回しになることを
00:41:56理解していただきたい
00:41:58そうか
00:41:59やはり君は
00:42:00メイドじゃなかったのか
00:42:04そういえば
00:42:05自己紹介がまだだったな
00:42:07私はイネス・ハーネス
00:42:09クレイス直属の
00:42:10戦士兵団に所属し
00:42:12副団長を務めている
00:42:14とても凄そうな感じだ
00:42:17また幼少より
00:42:18神の盾
00:42:19神巡の二つ難をいただき
00:42:21リンネブルグ様の
00:42:22盾となる役目を
00:42:23仰せ使っている
00:42:26本来
00:42:27リンネブルグ様は
00:42:28私の命に変えても
00:42:29お守りしなければ
00:42:30ならないお方
00:42:32その命を救ってくれた
00:42:33御人ともなれば
00:42:35私の命を救ってくれたも
00:42:36当然だ
00:42:38そんな大そうなことは
00:42:39していないんだが
00:42:41これから先
00:42:42私はでき得る限り
00:42:43あなたの力となろう
00:42:45助けが必要なら
00:42:46言ってくれ
00:42:48本当にこの家の人たちは
00:42:49大げさだな
00:42:51だが気持ちだけは
00:42:52受け取っておこう
00:42:54何かあれば
00:42:55頼らせてもらおう
00:42:56だが一応
00:42:57忠告はしておく
00:42:59先ほどまでの態度
00:43:01リンネブルグ様には
00:43:02許されているようだが
00:43:04一見のまでの
00:43:05あなたの言動は目に余る
00:43:07あれほど
00:43:08慣れ慣れしい態度は
00:43:09許されるものではない
00:43:11今後
00:43:12このようなことが続けば
00:43:14見逃されている無礼も
00:43:15見逃されなくなる
00:43:17特に他の家臣の前では
00:43:18控えるように
00:43:21忠告感謝する
00:43:26それだけは
00:43:27言っておかなければ
00:43:29それと
00:43:30良ければ
00:43:31名を教えてもらえるだろうか
00:43:33私の恩人の名前は
00:43:34覚えておきたい
00:43:36ノールだ
00:43:38ノール?
00:43:40また何か気に触ったか
00:43:42いやすまない
00:43:43こちらの話だ
00:43:45では私は
00:43:46ここで失礼させてもらう
00:43:51やっぱり怒られたな
00:43:55もうお帰りかい
00:43:56英雄様
00:43:57彼は確か
00:43:58ギル
00:43:59アル
00:44:00いや違うな
00:44:01ハル
00:44:02俺はギルバートだ
00:44:04ちょっと付き合ってくれよ
00:44:07その実力を見せて欲しいと思ってね
00:44:13帰れない
00:44:15この男は
00:44:16俺に一体何の用だ
00:44:19今日は疲れたし
00:44:20早く帰りたいんだが
00:44:23それで付き合うとは何にだ
00:44:28モギセンだよ
00:44:30モギセン?
00:44:32モギセン
00:44:33モギセン
00:44:34モギセン
00:44:35モギセン
00:44:36モギセン
00:44:37モギセン
00:44:38モギセン
00:44:39モギセン
00:44:40モギセン
00:44:41モギセン
00:44:42モギセン
00:44:44対人訓練なんて
00:44:46養成所依頼じゃないか
00:44:51これでも俺は
00:44:52オートじゃ長通ってるんだ
00:44:54好きなものを選びな
00:44:56英雄様の実力計らせてくれよ
00:45:01冒険者を目指す上で
00:45:03これは願ってもない機会だ
00:45:06こちらこそ
00:45:07よろしく頼む
00:45:13俺がどれほど彼の相手になるかは分からないが
00:45:17胸を借りるつもりで挑もう
00:45:20あのギルバート隊長とモギセン?
00:45:23誰だあいつ
00:45:24死んでも知らねえぞ
00:45:26じゃあ
00:45:27行くぜ
00:45:40洗面された動き
00:45:42緩急の突き方も見事だ
00:45:45きっとなめなめならぬ筋肉のレスリングだったんだろう
00:45:49しかし
00:45:50どういうわけか遅い
00:45:54そういうことか
00:45:56俺相手では実力の片鱗すらも見せる価値はないと
00:46:01ちょっとタイム
00:46:04気を使ってくれているのは分かるが
00:46:07そこまで手を抜かなくてもいいぞ
00:46:10そうか
00:46:11人間相手だからって無意識に手加減していたか
00:46:15そいつは悪かったな
00:46:23さっきより格段に早い
00:46:25だがそれより
00:46:27俺がかわした瞬間完全に無防備になっている
00:46:31撃ってこいと言わんばかりに
00:46:37なんでだ
00:46:38なんで俺の槍が届かねえ
00:46:41いや罠だ
00:46:42これが彼の本気であるはずがない
00:46:47さあこれでどうだ
00:46:53軌道が
00:46:55もらった
00:47:04薬もしない
00:47:05まだ大丈夫だ
00:47:07もう少し早くしてもらってもいいぞ
00:47:10そうかよ
00:47:12もしかしたら
00:47:14彼はすでに本気を出している
00:47:17長い間己とのみ向き合ってきた結果
00:47:20俺も少しは強くなっているのかもしれない
00:47:24なら俺でも
00:47:25ひょっとしたら勝てるかも
00:47:28ドラググレーブ
00:47:39いやー
00:47:50分かった
00:47:51俺の負けだ
00:48:00危なかった
00:48:02馬鹿な
00:48:03隊長のドラググレーブをかわしただと
00:48:06先端が太い訓練用の槍だったから
00:48:08風圧で吹っ飛ばされちまったのさ
00:48:10本物だったら今頃
00:48:11首から上は消し飛んでるぜ
00:48:13だよな
00:48:14何たってギルバート隊長は
00:48:16百年に一人の天才だもんな
00:48:19天才か
00:48:22槍を持ってすぐ
00:48:24俺には才能があると気づいた
00:48:29そこまで
00:48:31勝者ギルバート
00:48:33あれが王都で噂の
00:48:35力の差が歴然ね
00:48:37もうこの村で勝てる奴なんていねえよ
00:48:40鍛えれば鍛えるほど
00:48:42技は洗練され
00:48:44力が増していくのが分かった
00:48:47だが
00:48:55楽しめたかな
00:48:56この村は
00:48:58まさか
00:48:59退屈もいいところだ
00:49:01強者を求めて
00:49:03各地を回っていると聞くが
00:49:05この辺りで
00:49:07お主を満足させられるものは
00:49:09おらんだろうよ
00:49:11王都の目星奴らは
00:49:12だいたいぶっ倒しまったからな
00:49:14外に出ればと期待したんだが
00:49:19噂では
00:49:20王国と諸外国との力関係が
00:49:23崩れつつあるそうだ
00:49:25
00:49:26国は強き兵を求め
00:49:28彼らもまた
00:49:29富や名声を求め
00:49:31集うだろう
00:49:33今一度
00:49:34帰ってみてはどうだ
00:49:36力の集う王都へ
00:49:44王都に帰った俺は
00:49:46ひたすら魔物を狩り続け
00:49:51兵団に強い奴が入ったと聞けば
00:49:53戦いを挑み
00:49:54ことごとくぶっ倒した
00:49:57こんなんじゃ足りねえ
00:49:59俺を熱くさせてくれる奴はいねえのか
00:50:04うーん
00:50:08つまらねえ
00:50:10心の底からつまらねえ
00:50:13どいつもこいつも
00:50:15弱すぎる
00:50:21ここにいたか
00:50:24師匠
00:50:26名誉ある創世の二つ名を
00:50:28授与されたというのに
00:50:30浮かない顔だな
00:50:32面倒な肩書きが一つ増えただけさ
00:50:36言ってくれる
00:50:37私の剣聖に並ぶ称号を面倒だと
00:50:41退屈だぜ
00:50:43どいつもこいつもぬるいったらありゃしねえ
00:50:46イネスがいるではないか
00:50:48イネスか
00:50:50あいつはなんつーか
00:50:52強さの種類が違うからな
00:50:54単純に模擬戦だったら
00:50:56俺の方が強いし
00:50:57そうか
00:50:59師匠くらいの実力の奴がもっといれば
00:51:01面白いのにな
00:51:03私と同じくらいか
00:51:06それは面白そうだな
00:51:08師匠も退屈なんじゃないか
00:51:11自分の小指程度の力しかない兵や冒険者なんか至難して
00:51:15いずれ王とを守る存在だ
00:51:18私だけが強くても戦には勝てんよ
00:51:22それに
00:51:23いつか私を超える者も現れる
00:51:27いつかね
00:51:30俺が現役のうちに来てもらわねえと困るな
00:51:34先に退屈で死んじまうぜ
00:51:39ミノタウルスをたった一人で倒した男
00:51:43どんな奴かと思ったら
00:51:45訳がわかるねえ
00:51:47目のくらむような褒美にも一切興味を示さねえし
00:51:51王様相手にもやけに堂々としてやがる
00:51:55嫌いじゃねえなって思った
00:51:57ただ
00:51:58とてもあの化け物を倒せるような迫力は感じなかった
00:52:02それなのに
00:52:09なんでだ
00:52:10なんで俺の槍が届かねえ
00:52:18まだ大丈夫だ
00:52:20もう少し早くしてもらってもいいぞ
00:52:22そうかよ
00:52:25だったらお望み通り
00:52:28全力で言ってやるよ
00:52:31音さえも置き去りにする
00:52:33俺の最強の技
00:52:35あんなもの人間に放ったら
00:52:37死んじまうことくらい分かってた
00:52:40だがあの時は
00:52:42俺の槍を届かせるには
00:52:44これしかねえ
00:52:46ドラググレイブ
00:52:55何が起きたのか全く分からなかった
00:52:58真っ向勝負で初めてのカンプなきまでの敗北
00:53:02しかも
00:53:03分かった
00:53:04俺の負けだ
00:53:06何だと
00:53:07もう分かった
00:53:09これ以上続ける意味はないだろう
00:53:12部下の前だからって
00:53:14俺に気遣いやがるのか
00:53:16こんな屈辱はねえぜ
00:53:18ああ
00:53:19何が分かったって
00:53:21ああ
00:53:22もういい
00:53:23これで十分だ
00:53:25それに去り際のあの一言
00:53:28また
00:53:29次に会えるのを楽しみにしている
00:53:44何だ
00:53:45あの亀裂は
00:53:47あんなもん
00:53:48痛い
00:53:50あんなもん
00:53:51いつの間に
00:53:53どうやってやったかは分からねえ
00:53:56とにかく奴は俺の技をかわしたんだ
00:53:59俺の全力の技を
00:54:02これからやっと楽しくなりそうだ
00:54:10それにしてもすさまじい一撃だった
00:54:13もしかして俺も少しは強くなったのかと
00:54:16うぬぼれ始めたその矢先
00:54:19全身全霊
00:54:20全力の身体強化と忍び足で回避できたものの
00:54:26かわせるギリギリの速度に調整してもらえていなかったら
00:54:30今頃俺は死んでいた
00:54:33満身は死につながることをわざわざ警告してくれたのだ
00:54:37あのアルンなんとか
00:54:39いや
00:54:40ギル
00:54:42確か鳥っぽかったよな
00:54:44バード
00:54:46ピオパード
00:54:50違うか
00:54:52彼には感謝しよう
00:54:54俺はまだまだ弱い
00:54:57よりいっそ鍛えなければ
00:55:10すごいびっくりするほど汚れが落ちるぞ
00:55:14そこにこびりついた頑固な汚れまで
00:55:18やはりこの剣はいい
00:55:20あっという間だな
00:55:22ねえいい仕事するでしょ
00:55:25リーンのお父さんが言っていた通り
00:55:28ちょっと乱暴に扱っても全然傷つかない
00:55:32まあもともとボロボロだから気にならないだけかもしれないが
00:55:36ノル
00:55:37次はうちも頼めるか
00:55:39ああ
00:55:40任せてくれ
00:55:47ドブさらいの仕事が順調なのはありがたいが
00:55:51例の事件のせいで土運びの仕事はしばらく中止になってしまった
00:55:57エフランクの仕事しか受けられない以上
00:56:00オートの仕事がなくなれば
00:56:02丸一日やることがない日も出てくる
00:56:05せっかくだからこれを使って
00:56:08何か人の役に立てることでも
00:56:11こいつをオール代わりにして
00:56:14いやその前に船を買わないといけない
00:56:17釜を借りるにも金がいるな
00:56:20そうか鉄板焼き屋なら場所さえあればやれるぞ
00:56:24だが問題は火力だ
00:56:28ブチファイア
00:56:30俺の能力では
00:56:32この程度を指先に灯すくらいが石の山だ
00:56:36あれほど養成所で訓練を受けたのに
00:56:39最低位のスキルしか身につけられなかった
00:56:45ノール様
00:56:47おはようございます
00:56:49リーン
00:56:51あれほど慣れ慣れしい態度は許されるものではない
00:56:54ねえブルグ様か
00:56:57リーンで大丈夫です
00:56:59誰かに何か言われましたか
00:57:01ああいやそれよりどうしてここに
00:57:04突然すみません
00:57:06ギルドマスターに場所をお伺いして
00:57:08ご迷惑でしたか
00:57:10いや詳しい位置は教えてなかったか
00:57:13そういえば彼女はスキルで他人の居場所が分かるんだったな
00:57:18なぜまた俺のところに
00:57:21はい今日は別件でお願いにあがりました
00:57:25私をノール様の住者にしていただきたいのです
00:57:29なんだそれは
00:57:31はい住者というのは身の回りのお世話をさせていただきつつ
00:57:35技術や知識の教えをこうものです
00:57:38言ってみれば女子あるいは弟子入りに近いものでしょうか
00:57:43お傍に置かせていただけるだけで十分です
00:57:46ご迷惑はおかけしないようにしますので
00:57:48ぜひともお許しをいただければ
00:57:50断る
00:57:52やはり先日何かお気に召さないことでも
00:57:56それとも私のような若輩者では頼りなく思われますか
00:58:00いや
00:58:01私をお傍に置いていただければきっと何かの役に立つと思います
00:58:05これでも6系統の王都訓練所すべて歴代最高の成績で
00:58:10いらない
00:58:12そもそも俺が君に教えることなど何もない
00:58:16役立ってもらおうと思わない
00:58:18自分のことは自分でできるからな
00:58:21では指導料として当家から十分な謝礼を
00:58:25いやそういう話じゃないんだ
00:58:27それなら私を好きなように使っていただいても構いません
00:58:31冒険者ギルドの依頼の補助や薩摩などなんでも
00:58:35それもいらない
00:58:37では
00:58:38いらないものはいらないんだ本当に
00:58:45必ずお役に立ってみせますから
00:58:50これで信じていただければと
00:58:52では失礼して
00:58:55アイシュクルダンス
00:59:01セルフレア
00:59:08これが私の使える最高位の魔術スキルの一つ
00:59:12ヘルフレアです
00:59:14そして
00:59:19おぼろ刀
00:59:32これはシーフ系統の奥義です
00:59:35陰性のカルー先生より伝授していただきました
00:59:39そして
00:59:45ディバインスラッシュ
00:59:53今のはソードマンの請求スキル
00:59:56ディバインスラッシュです
00:59:58アンデッドに特に効果の高い特殊な技で
01:00:01そして
01:00:02もういい十分だ
01:00:04では弟子入りの許可を
01:00:06ダメだ
01:00:09どういうわけか
01:00:10俺が教えをこう価値のある人物だと
01:00:13勘違いしているらしい
01:00:15ここまでしてもらえれば
01:00:17彼女の才能は十分に分かる
01:00:20自分が情けなくなるほどだ
01:00:22ますます君に教えることなどない
01:00:26私は
01:00:27これでも六聖の教官に力を認めていただいていますし
01:00:31おそばに置いていただければ
01:00:32多少の役には立つはずです
01:00:35まだまだノール様の足元にも及ばないとは思いますが
01:00:38どうか
01:00:40どうすれば納得してもらえるだろう
01:00:43やはり実際に示すのが一番か
01:00:46君はさっき
01:00:47なんだかすごいスキルをたくさん見せてくれたが
01:00:50俺のスキルを見てもらおう
01:00:53プチファイア
01:01:01才能なしの少年
01:01:04大都の養成所で
01:01:05教官たちの口から語られる
01:01:07とある少年の逸話
01:01:11けれど誰もが
01:01:12そんな逸話は教訓のために作られた
01:01:15おとぎ話だと解釈した
01:01:18なぜなら
01:01:19その少年の人物像が
01:01:21あまりに荒唐無稽だったから
01:01:24少年は若干十二歳にして
01:01:26あの過酷なことで知られる
01:01:28大都養成所の教練課程を六系統すべて
01:01:32それも満期までやり遂げたという
01:01:35そんな人間がいるはずない
01:01:37誰だってそう思う
01:01:39屈強な戦士でも
01:01:40三日で念を挙げるあの課程を三ヶ月
01:01:43ましてや子供が乗り越えるなんて
01:01:46私もそう思っていた
01:01:49あの人に出会うまでは
01:01:52以前
01:01:53黄泉先生に見せてもらったことがある
01:01:55先生
01:01:56面白いものって何ですか
01:01:58輪廻ブルグ様
01:02:01ご覧くだされ
01:02:06プチファイアが大きくなった
01:02:09面白いじゃろう
01:02:11訓練次第では最低位のスキル
01:02:14プチファイアですら
01:02:15ここまで大きくできますのじゃ
01:02:20もっとも実用性は皆無じゃし
01:02:22二百年以上生きている私のような
01:02:24暇人の遊びじゃがんの
01:02:28プチファイア
01:02:31私も何度か挑戦してみたけれど
01:02:34わずかでも火を大きくすることはできなかった
01:02:38一丁一石でできるようなものじゃなく
01:02:40とても長い研鑽の時間が必要なのだ
01:02:44だからこそ驚きに言葉が出なかった
01:02:47世界最高峰の魔術師黄泉よりも数倍大きい
01:02:52超特急のプチファイア
01:02:55これが俺のプチファイアだ
01:02:58他の五系統もまあ似たようなものだ
01:03:01これがどういうことか分かるか
01:03:05つまり六系統すべてが規格外の実力ということ
01:03:10途方もない実力者相手に
01:03:13私は何を見せた
01:03:15ただ覚えたばかりの好意スキルを見せびらかしただけでは
01:03:19たった一本のブロードソードで
01:03:22ミノタウロスの斧を何度も弾き返し
01:03:25その力を保持することもなく
01:03:27黙々と人のために仕事をこなしている
01:03:30一言で言えば彼は強いのだ
01:03:34力だけでなく精神も
01:03:36一人で生きていける強さを持っているから
01:03:40何者にも屈しない
01:03:42私は将来兄と共にこの国を導く立場になる
01:03:46王の血に連なる者は強くあるというのが
01:03:50クレイス王家の家訓だ
01:03:52だったら私は何よりも
01:03:54あの人の強さを学ばなければならないのだ
01:04:09ごちそうさま
01:04:14ノール様
01:04:16よくわかりました
01:04:19己の慢心
01:04:21そして未熟さが
01:04:24いつの日か
01:04:26あなたの弟子と認めてもらえる日が来るまで
01:04:29それまでずっと
01:04:31あなたの後ろをついて行かせていただきます
01:04:34ノール様
01:04:35いえ
01:04:36ノール先生
01:04:38先生
01:04:40私の追い求めた答えが
01:04:42いえ
01:04:43我々クレイス王家が代々求めた至上の強さが
01:04:47きっとこの人の中にあるのだから
01:04:51なぜこうなる
01:05:07しかしよりによって
01:05:10父は何を思い
01:05:12あの素性の知れない男に黒い剣を与えたのだ
01:05:17あれは
01:05:18父がまだ冒険者だった頃
01:05:21六世と共に
01:05:22帰らずの迷宮の採用部に分け入り
01:05:25数年の歳月に及ぶ
01:05:27命がけの探索で得た
01:05:29迷宮遺物の最たるもの
01:05:32その刀身は未知の物質でできており
01:05:35ミスリル
01:05:36オリハルコン
01:05:37マナメタルよりも硬く
01:05:39どんな技術やスキルであろうと
01:05:41毛筋ほどの傷さえもつかない
01:05:44別名
01:05:45壊れずの剣
01:05:48何より重大なのは
01:05:50その一切傷つかないはずの素材が
01:05:52なぜあれだけ傷ついているのかということ
01:05:57あの剣には武器だけに留まらない価値がある
01:06:00それを軽々しく手放すなど
01:06:03いや
01:06:06そうではない
01:06:07父もまた
01:06:08この国を覆う不穏の契機に気づいている
01:06:13おそらく父は
01:06:14あの男に賭けたのだ
01:06:21ミノタウロスを倒し
01:06:22リーンの命を救ったあの男に
01:06:27これから起こる何かへの
01:06:29切り札として
01:06:30そういえばリーン
01:06:31一目は大丈夫なのか
01:06:33はい
01:06:34今の私は一冒険者ですので
01:06:36そうか
01:06:38食べ終わったら
01:06:39ギルドへ行こうと思うんだが
01:06:41分かりました
01:06:42ノール先生
01:06:44困った
01:06:45俺は先生などと呼ばれる人物ではないのに
01:06:49誤解を解こうとすればするほど
01:06:51事態がこじれていく
01:06:52おそらく
01:06:53私は
01:06:54私は
01:06:55私は
01:06:56私は
01:06:57私は
01:06:58私は
01:06:59こじれていく
01:07:01当たり前のように
01:07:02どこまでもついてくるし
01:07:05ひとまず
01:07:06ギルドで仕事をもらい
01:07:08少しでも一緒にいれば
01:07:10俺がどの程度の人間か
01:07:11分かってもらえるはずだ
01:07:14いい依頼が見つかるといいですね
01:07:16先生
01:07:18いただきます
01:07:20ノール
01:07:21お前
01:07:22なんでリンネブルグ様と一緒なんだ
01:07:25マスター
01:07:26冒険者としての私はリーンです
01:07:29様もいりません
01:07:31悪かったなリーン
01:07:34どうなってんだ
01:07:36昨日またなんかあったのか
01:07:38そうだな
01:07:40説明がとても難しいのだが
01:07:45いや他人の詮索はしねえのが
01:07:47ここのルールだったな
01:07:49今なら忘れてくれ
01:07:50相談に乗ってほしいくらいなのだが
01:07:53で何の用だ
01:07:55依頼か
01:07:56ああなるべくなら
01:07:58二人でできるやつだ
01:08:00二人でか
01:08:04確かリーンはシルバー
01:08:06Bランクだったな
01:08:08はい
01:08:10お前らがパーティーを組むとなると
01:08:12大都近郊のゴブリン大使くらいなら
01:08:15受けられるな
01:08:17ゴブリン大使
01:08:20ゴブリンといえば
01:08:22世の冒険者たちが
01:08:23腕試しをするモンスターだ
01:08:26おじさん
01:08:27その依頼本当に受けられるのか
01:08:29ああ
01:08:30リーン一人なら
01:08:32シルバーの依頼も可能だが
01:08:34ランクが下の仲間を連れていく場合は
01:08:36足手まといになるからな
01:08:38普通は一つか二つ
01:08:40ランクを落とすんだ
01:08:42いけるのか
01:08:43城外のクエストに
01:08:45いや待て
01:08:47これはリーンの冒険者ランクを
01:08:49利用することになるのでは
01:08:52さっきまであんなに早く帰ってもらうことばかり考えていたのに
01:09:00見透かされている
01:09:02あまりにも厳禁すぎて
01:09:04我ながら恥ずかしい
01:09:06果たしてリーンはこんな俺と
01:09:08パーティーを組んでくれるだろうか
01:09:10どうされました
01:09:13その
01:09:14大丈夫なのか
01:09:15リーンとしては
01:09:17今の話
01:09:18君に頼ってしまう形になるのだが
01:09:21もちろん大丈夫です
01:09:23先生のお役に立てるのなら
01:09:25なんなりとおっしゃってください
01:09:27そうか
01:09:29こんな歳派もいかない少女に頼るのは情けないが
01:09:34それでも
01:09:35夢の一つが叶う
01:09:40それじゃあ行ってくる
01:09:41待てって
01:09:42まだ行き先も何も伝えてねえだろ
01:09:46確かに
01:09:48じゃあ受けるんだな
01:09:50ああ
01:09:51頼む
01:09:53無理はするなよ
01:09:55脅威度が低くても
01:09:57安全ってわけじゃねえんだからな
01:09:59自分の実力は分かってるつもりだ
01:10:04場所はこのエリア
01:10:06勝った分だけ報告してくれ
01:10:08魔獣の森ですね
01:10:10そうだ
01:10:11討伐証明部位は右耳
01:10:14それがないと報酬は出ないぞ
01:10:16必ず持ち帰れ
01:10:18分かった
01:10:19右耳だな
01:10:20まあ
01:10:21最近は相当数が減ってるって報告もあるから
01:10:24一匹も出てこなかったら薬草でも摘んで帰って来い
01:10:28ああ
01:10:29じゃあ行っていいぞ
01:10:30本当に怪我には気をつけろよ
01:10:33行ってくる
01:10:41よし
01:10:49行くぞ リン
01:10:51はい 先生
01:10:57ここが魔獣の森か
01:10:59木の密度が高いな
01:11:02俺がいつも行く南側の森とは
01:11:04木の種類も違うし大きい
01:11:07他と生態が少し違うんです
01:11:09そうなのか
01:11:12リン
01:11:13ゴブリンとはどんなままのなんだ
01:11:15え?
01:11:16いや 一応聞いておきたくてな
01:11:19あ はい
01:11:21普段は森で木の実や小動物を捕食していますが
01:11:25人も食べ物として積極的に襲ってきます
01:11:28放っておくと数が増えすぎて
01:11:30食料が不足し
01:11:32ゴブリンとはどんなままの森だろう
01:11:34
01:11:35ゴブリンとは
01:11:37ゴブリンとは
01:11:40食料が不足し
01:11:41人里に溢れてくることもありますね
01:11:44そのため定期的に冒険者が飼って
01:11:46数を調整しています
01:11:48調整
01:11:50ゴブリンがいるといないとでは
01:11:52森の生態系の豊かさが違うと言われているので
01:11:55飼り尽くすのもよくありません
01:11:59実際にこの森も
01:12:00他とは違う珍しい動植物が見られるので
01:12:04ビギナー冒険者の訓練場や
01:12:06収入源として利用されています
01:12:09なるほど
01:12:11リーンはスキルだけじゃなく
01:12:13幅広い知識も持っているのか
01:12:16ますます俺に教わることなどないのでは
01:12:34どうだ
01:12:36やはりいませんね
01:12:38そうか
01:12:40普段であればすでに遭遇していても
01:12:42おかしくないのですが
01:12:45ゴブリンの数が減っているという噂は
01:12:47本当のようです
01:12:51一つ魔物らしき反応がありますね
01:12:54少し遠いですが
01:12:56本当か
01:12:57ええ
01:12:58そんなに時間はかからなそうなので
01:13:00行ってみましょう
01:13:05だんだん薄暗くなってきたな
01:13:07このあたりは樹齢の高い木も多く
01:13:10日光が入りづらいと聞いています
01:13:13ゴブリンはこうした場所を好むそうです
01:13:16そうか
01:13:18あれ
01:13:20どうした
01:13:21確かにこの先に魔物の気配があったのですが
01:13:25消えました
01:13:27消えた
01:13:28はい
01:13:30魔物とはいえど生き物だ
01:13:33病気や寿命で勝手に死んだりもするんじゃないのか
01:13:37確かにその可能性もありますが
01:13:43このあたりです
01:13:49何もないですね
01:13:51そうだな
01:13:56いや
01:13:57待て
01:14:03あれは何だ
01:14:07ああ
01:14:12あんたは
01:14:19
01:14:21何だあれは
01:14:28あれは
01:14:29ゴブリン
01:14:31あれが
01:14:32ゴブリン
01:14:34想像していたよりもずっとでかい
01:14:37最弱の魔物と言われてはいるが
01:14:39実際に見るのと聞くのとでは大違いだ
01:14:43しかし特徴とは一致する
01:14:46緑色の肌
01:14:47二足歩行
01:14:49獣のように鋭い眼光
01:14:53そして
01:14:54道具を使う
01:14:56世の貢献者たちは
01:14:58こいつを雑魚扱いしているのか
01:15:02無理もない
01:15:03才能に恵まれているとは言え
01:15:05実践経験はまだ少ないはずだ
01:15:09怯えることはないぞリン
01:15:11相手はただのゴブリンだ
01:15:16怖い
01:15:17考えるな
01:15:20倒すぞ
01:15:25はい
01:15:26先生
01:15:30アンカバ
01:15:40
01:15:45あれは
01:15:46ゴブリン
01:15:48ゴブリンエンペラー
01:15:51災害級と言われる
01:15:52ゴブリンキングの母種
01:15:55ゴブリンエンペラーは
01:15:56人為的操作によって生まれる魔物
01:15:59今は禁止された技法の研究によって
01:16:01生み出された禁忌の知恵
01:16:04しかもこの個体は
01:16:05道具を喰らうことで
01:16:06魔力を取り込み
01:16:07力を増している
01:16:09怯えることはないぞリン
01:16:11相手はただのゴブリンだ
01:16:13まさか
01:16:14先生はこれを察知してここへ
01:16:18ゴブリン討伐を
01:16:19無邪気に喜んでいるように見えたのは
01:16:21人知れず危機を排除するための方便
01:16:26倒すぞ
01:16:27そうだ
01:16:28私は今
01:16:29一人ではない
01:16:34はい
01:16:35先生
01:16:38アンカバ
01:16:40アンカバ
01:16:41アンカバ
01:16:50パリィ
01:16:54パリィ
01:17:05追い込むつもりか
01:17:06だが思い通りにはさせない
01:17:09パリィ
01:17:12リン
01:17:13はい
01:17:14ウィンドカッター
01:17:20アイスキルダンス
01:17:25当たらない
01:17:26ここまで素早いのか
01:17:32パリィ
01:17:38先生
01:17:39大丈夫か
01:17:40
01:17:43パリィ
01:17:44パリィ
01:17:48パリィ
01:17:49パリィ
01:17:50何か手は
01:17:59傷が
01:18:00いくらゴブリンエンペラーでも
01:18:02この速度で回復なんて
01:18:06あれは
01:18:08先生
01:18:10額の魔石
01:18:11あれを取り除けば何とかなるかもしれません
01:18:20まさか
01:18:21俺が弾ける数を見ていたのか
01:18:25守りきれない
01:18:28ウィンドブラスト
01:18:29ウィンドブラスト
01:18:39ご無事ですか
01:18:40助かった
01:18:43やはり
01:18:48相手は魔石によって力を回復し続けています
01:18:54このままではこちらの体力と魔力だけが消耗してしまう
01:19:00リンの魔法攻撃が当たらないとなれば
01:19:03俺の攻撃など
01:19:06リン
01:19:07今の俺の背中に打てるか
01:19:09今の
01:19:11ウィンドブラスト
01:19:12そうさ
01:19:20あれは城壁を破壊するほどの威力です
01:19:23いくら先生でも
01:19:25地下には当てない
01:19:28この剣なら耐えられる
01:19:31奴の速度を上回るには
01:19:33それしかないと思う
01:19:36分かりました
01:19:41行きます
01:19:42頼む
01:19:43ウィンドブラスト
01:19:53全体強化
01:19:58生き延びやすい
01:20:01体が
01:20:03のぎる
01:20:27先生
01:20:28お酒は
01:20:29ここに
01:20:35リン
01:20:36後を頼めるか
01:20:38すまないが
01:20:39なるべく苦しませずにやってくれ
01:20:42分かりました
01:20:52リン
01:20:53リン
01:20:54リン
01:20:55リン
01:20:56リン
01:21:07エルフレア
01:21:27許せ
01:21:28ゴブリン
01:21:31当分ゴブリン退治はやめておこう
01:21:36自分を過信して
01:21:38危険なことはしないほうがいい
01:21:41次に挑戦するのは
01:21:44もっと鍛えて
01:21:46強くなってからだな
01:21:57今度はゴブリンエンペラーか
01:22:00この順番の魔石
01:22:02どれほど強大だったか
01:22:04想像もつかない
01:22:06報告によれば
01:22:07ゴブリンキングの体育の数倍はあったようです
01:22:10だろうな
01:22:12こんなもの
01:22:13異常だ
01:22:15事件自体は
01:22:16魔導広告の手引きによるものだろう
01:22:19だが
01:22:20この魔石は
01:22:21どうなっているのか
01:22:22おそらく
01:22:23神聖ミスラ教国のデモンズハートではないかと
01:22:27リンの様子は
01:22:29奇跡的に軽症です
01:22:31よほどの脅威だっただろうな
01:22:34よく二人で討伐できたものだ
01:22:37魔物は高度なシールで身を隠し
01:22:40魔獣の森に潜伏していたとのことです
01:22:43リンネブルグ様の見立てでは
01:22:45数日か
01:22:46それ以上は
01:22:48リンは
01:22:49それは
01:22:50数日か
01:22:51それ以上前から
01:22:53
01:22:54隠密兵団ですら
01:22:55感知できないほどのシールだと
01:22:59そもそも奴らは
01:23:00そんな巨体をどうやって
01:23:01この国まで運んできた
01:23:04召喚魔術であれば
01:23:05王土の感知網が捉えるはずだ
01:23:08周囲に予兆はなかったのか
01:23:11ゴブリンの数が減少しているようだと
01:23:14冒険者ギルドから
01:23:15調査依頼が出ていたようです
01:23:17他の地域でも
01:23:18同じような事例が起きているかもしれないな
01:23:21こちらが
01:23:22過去3ヶ月以内の
01:23:23不審な事件をまとめた報告書です
01:23:29ご苦労だった
01:23:31引き続き調査を
01:23:34まさか
01:23:35あの時のガキが
01:23:36ゴブリンを討伐する日が来るとはな
01:23:39思ったよりずっと大変だった
01:23:42リンに助けられて
01:23:43何とか倒せたと言ったところだ
01:23:46いいえ
01:23:47そんなことは
01:23:51それでも
01:23:52今日は記念すべき初討伐
01:23:55世の冒険者には
01:23:56小さなことかもしれないが
01:23:58俺にとっては大きな一歩だ
01:24:01とか言ってお前
01:24:03見てただけってことは
01:24:04ねえだろうな
01:24:06まあその方が賢明っちゃ賢明だが
01:24:09ああ
01:24:10実際少し手伝ってもらった
01:24:12実際少し手伝ったくらいのものだ
01:24:15リンがいなかったら
01:24:16今頃どうなっていたか分からない
01:24:18私こそ
01:24:19先生のお手伝いをしただけで
01:24:22まあゴブリンとはいえ
01:24:23初心者の脅威には違いねえし
01:24:26いい経験になったんじゃねえか
01:24:29本当にその通りだ
01:24:31実際に見るまで
01:24:32ゴブリンがあんなものだとは
01:24:33思いもしなかったし
01:24:35額の石が弱点だなんて
01:24:37考えもしなかった
01:24:39額の石?
01:24:40なんだそれ
01:24:41赤っぽい色をした
01:24:43綺麗な石なんだが
01:24:45ああ
01:24:46魔石のことか
01:24:48普通は心臓や
01:24:49喉元に埋まってるもんなんだが
01:24:53それ本当にゴブリンだったのか
01:24:56確かにゴブリンだったと思うぞ
01:24:58はい
01:24:59先生がそうおっしゃるなら
01:25:01あれはゴブリンです
01:25:02誰が何と言おうと
01:25:06珍しい答えだったのかな
01:25:09それじゃ
01:25:10手札証明部位を出してくれ
01:25:12監禁するから
01:25:16右耳だ
01:25:18言っただろう
01:25:19忘れずに持って帰ってこいって
01:25:25どうした
01:25:27燃やしてしまったな
01:25:29丸ごと
01:25:41太陽を知り月を誇る
01:25:47信じた僕の奇跡を
01:25:56何も持たざる者
01:25:57何も得られぬ者
01:25:58指先に残った
01:25:59微かな炎
01:26:00煌めく月が出く
01:26:01熱く燃やし出した
01:26:02与えられなかった
01:26:03僕らの
01:26:04未来の
01:26:05未来の
01:26:06未来の
01:26:07未来の
01:26:08未来の
01:26:09未来の
01:26:10未来の
01:26:11未来の
01:26:12未来の
01:26:13未来の
01:26:14未来の
01:26:15未来の
01:26:16未来の
01:26:17未来の
01:26:18未来の
01:26:19未来の
01:26:20未来の
01:26:21未来の
01:26:22未来の
01:26:23未来の
01:26:24未来の
01:26:25未来の
01:26:26未来の
01:26:27未来の
01:26:28未来の
01:26:29未来の
01:26:30未来の
01:26:31未来の
01:26:32未来の
01:26:33未来の
01:26:34未来の
01:26:35未来の
01:26:36未来の
01:26:37未来の
01:26:38未来の
01:26:39未来の
01:26:40未来の
01:26:41未来の
01:26:42未来の
01:26:43未来の
01:26:44未来の
01:26:45未来の
01:26:46未来の
01:26:47未来の
01:26:48未来の
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01:26:51未来の
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01:26:53未来の
01:26:54未来の
01:26:55未来の
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01:26:57未来の
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01:26:59未来の
01:27:00未来の
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01:27:22未来の

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