• 7 年前
「魔王」はシューベルトが18歳の時に作曲した、
ごく初期にして最上級の傑作歌曲です。
偶然訪れた友人の話によると、ゲーテの詩を手に取った
シューベルトは、しばらくそれを見つめながら部屋の中を行ったり来たりしていましたが、徐に席に着くと一気呵成に書き上げたといいます。
詩の中では嵐の夜、病に震える息子を抱き、自宅へと馬を走らせる父親と、息子に死の淵に誘い込むかのように語りかける魔王の3者のやりとりが物語風に描かれています。
歌手は3人の声を使い分けなければならず、また激しく3連を刻み続け歌以上に物を言うピアノ伴奏にも技術が要求され、難曲にして歌曲表現の極限ともいわれています。
この曲を聴いたゲーテは当初、あまりの生々しい表現に口を閉ざしていましたが、シューベルトの死後になってようやくその真価を認めたといいます。
また、作曲当時無名だったシューベルトは大手の出版社から相手にされず、有志によって100部のみが作品番号1として自費出版されました。
リストは「魔王」の他にもシューベルト作品を多数ピアノ編曲しています。

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