5. ヴィパッサナー実践の三原則
まずヴィパッサナー冥想実践法の三原則を覚えておきましょう。
1. スローモーション。
2. 実況生中継。
3. 感覚の変化を感じ取る。
一つ目は、スローモーション。からだをふつうのスピードで動かすのではなく、できるだけゆっくりスローな動きで行うこと。
二つ目は実況生中継。今行っていることを、頭の中で簡単な言葉で確認すること。それを隙間なく、切れ目なくするのです。これを実行すると、雑念が消え、瞬時に集中力が生まれます。
三つ目は、感覚の変化を感じ取ること。手を上げたり、歩いたり、座ったりするたびに、からだの感覚が変わります。考えるときも激しく感情が変わっていくのです。これらの変化を何も解釈せず、感じることです。
この三原則に基づいて行動することが、ヴィパッサナー実践になります。
「そんな簡単なことでよいのだろうか」と、思うかも知れません。それも妄想です。そのような妄想に明け暮れるのではなくて、やってみることです。さまざまな妄想に迷うことなく、今ここに意識を保ち続けていれば、いつの間にか驚くほど、心が成長していきます。たったそれだけで、心とからだの関係が理解でき、落ち着いた心境に至ることができます。
何を気づいてもかまわないのですが、楽に実践できるように『歩くこと』『立つこと』『座ること』という簡単な動作で実践をします。そのうち日常生活の中でも気づきが実践できるようになります。
6. 歩くヴィパッサナー実践法
歩く冥想は、30分~1時間くらい時間を決めて集中的に実践する方法もありますし、日常生活の中で歩く度に実践するという方法もあります。どちらでも、自分の生活にあわせて実践すればよいのです。日常生活の中で歩くときは、「左足、右足、左足、右足…」と足の動きを感じて頭の中で言葉で確認しながらふつうに歩きます。
集中的に歩く冥想を実践するときは、まず背筋を伸ばして、手を前か後ろで組みます。左足から歩くならば、左足に神経を集中させ、「左足」とこころの中で言葉で確認し、同じく「あげます」と実況しながら左足を上げ、「運びます」と実況しながら左足を運び、「おろします」と実況しながら左足を降ろす。次に、右足に神経を集中させて「右足」と確認し、「あげます」と実況しながら右足を上げ、「運びます」と実況しながら右足を運び、「おろします」と実況しながら右足を降ろす。このように実況中継を絶やすことなく歩くことを続けるのです。
歩く冥想実践は、わざわざゆっくりと歩く必要はありません。足の動きを感じやすい、実況しやすいスピードで、自然に歩いてください。
ポイントは歩く際に、足の感覚を丁寧に感じることです。足をあげると同時に、あげるという動きを感じてみる。足を運ぶときは、運ぶという動きを感じてみる。足をおろすときは、おろすという動きを感じてみる。
はじめはうまくいかないかもしれませんが、とにかくチャレンジして下さい。どうしてもできないと思うときも「左足、上げます、運びます、降ろします、右足、上げます、運びます、降ろします…」と隙間なく実況中継することだけでもつづけてみて下さい。徐々にできるようになります。
また、このシンプルさに飽きてきてつまらなくなって、頭はどこかへ逃げたくなるかもしれません。気にせずにつづけてみて下さい。
歩くということは無意味なことではなくて、人生の大事な一部ですから、シンプルだと軽視するわけにはいきません。私たちはいろいろ複雑なことをしていると思っていますが、生きる上で人々が行っているすべての行為を分析してみると、すべてがあきれるほどシンプルであることがわかります。それこそが、複雑な人生に対する答なのです。
初心者には歩く冥想が入りやすいでしょう。ブッダの時代から、悟りを開いた人は、坐る冥想より長い時間歩く実践をすることによって成長しました。歩く冥想は、眠くならないし、早く落ち着くし、体と心の調和が速やかに実現できる実践方法なのです。
7. 立つヴィパッサナー実践法
いま座っているということにして、「立つ」実践の方法を説明してみましょう。
できるだけゆっくりと、手の動き、からだの動きを実況しながら、立って下さい。立ち上がったら、「背中を伸ばします」と背筋を伸ばして下さい。「手を動かします、手を組みます」などと実況しながら両手を前か後ろに軽く結んで下さい。目は半眼にして下さい。意識を足の裏にしっかりと向けて下さい。
何も考えず、単純に、「立ってます、感じてます、立ってます、感じてます…」と足の裏に集中して、実況中継をつづけて下さい。立つ冥想実践は10分間くらいで十分です。
8. 坐るヴィパッサナー実践法
座布団か椅子を用意します。
「坐ります」「しゃがみます」「手を動かします」などと動作を実況中継しながら、楽な形で座ります。足を組む場合は「足を組みます」と足を組み、「背筋を伸ばします」と、実況中継しながら背中をまっすぐにします。「目を閉じます」と目を閉じます。三回くらい「吸います、吐きます」と実況しながら深呼吸します。
次に「待ちます」と、自分の中に生じてくるものを待ちます。
それから、「膨らみ」「縮み」「痛み」「しびれ」など、気になるからだの感覚を、実況し続けます。
「雑念」「妄想」「眠気」「苛立ち」などの心の感覚も、実況します。どれかひとつのことに集中する必要はありません。ありのままの状態を実況中継します。
坐る冥想は、自分のペースで、15分~45分間くらいすればいいでしょう。無理にがんばって長く座る必要はありません。冥想を終了するときは、ひとつひとつの動作を丁寧に実況しながら「終わります」としっかり確認してから終えて下さい。
■回向の文
仏法僧の三宝に礼拝、帰依し、戒をまもり、慈悲の冥想と、ヴィパッサナー修行によって積まれたこの功徳を、神々、先祖、祖父母、両親、親族、恩師をはじめとし、一切の生きとし生けるものに、回向いたします。
この功徳によって、すべての生きとし生けるものが幸福に暮らせますように。
そして、解脱が得られますように。
■ご自分でなさる時、慈悲の冥想を一通りしてから、ヴィパッサナー実践を行い、終わって時間があればもう一度簡単に慈悲の冥想をして、最後にこの回向の文を唱えます。やはり、唱えるならば静かに一句一句に心を込めて、そのつもりになってとなえてみてください。
※日本テーラワーダ仏教協会のHPから引用
http://www.j-theravada.net/
~生きとし生けるものが幸せでありますように~
まずヴィパッサナー冥想実践法の三原則を覚えておきましょう。
1. スローモーション。
2. 実況生中継。
3. 感覚の変化を感じ取る。
一つ目は、スローモーション。からだをふつうのスピードで動かすのではなく、できるだけゆっくりスローな動きで行うこと。
二つ目は実況生中継。今行っていることを、頭の中で簡単な言葉で確認すること。それを隙間なく、切れ目なくするのです。これを実行すると、雑念が消え、瞬時に集中力が生まれます。
三つ目は、感覚の変化を感じ取ること。手を上げたり、歩いたり、座ったりするたびに、からだの感覚が変わります。考えるときも激しく感情が変わっていくのです。これらの変化を何も解釈せず、感じることです。
この三原則に基づいて行動することが、ヴィパッサナー実践になります。
「そんな簡単なことでよいのだろうか」と、思うかも知れません。それも妄想です。そのような妄想に明け暮れるのではなくて、やってみることです。さまざまな妄想に迷うことなく、今ここに意識を保ち続けていれば、いつの間にか驚くほど、心が成長していきます。たったそれだけで、心とからだの関係が理解でき、落ち着いた心境に至ることができます。
何を気づいてもかまわないのですが、楽に実践できるように『歩くこと』『立つこと』『座ること』という簡単な動作で実践をします。そのうち日常生活の中でも気づきが実践できるようになります。
6. 歩くヴィパッサナー実践法
歩く冥想は、30分~1時間くらい時間を決めて集中的に実践する方法もありますし、日常生活の中で歩く度に実践するという方法もあります。どちらでも、自分の生活にあわせて実践すればよいのです。日常生活の中で歩くときは、「左足、右足、左足、右足…」と足の動きを感じて頭の中で言葉で確認しながらふつうに歩きます。
集中的に歩く冥想を実践するときは、まず背筋を伸ばして、手を前か後ろで組みます。左足から歩くならば、左足に神経を集中させ、「左足」とこころの中で言葉で確認し、同じく「あげます」と実況しながら左足を上げ、「運びます」と実況しながら左足を運び、「おろします」と実況しながら左足を降ろす。次に、右足に神経を集中させて「右足」と確認し、「あげます」と実況しながら右足を上げ、「運びます」と実況しながら右足を運び、「おろします」と実況しながら右足を降ろす。このように実況中継を絶やすことなく歩くことを続けるのです。
歩く冥想実践は、わざわざゆっくりと歩く必要はありません。足の動きを感じやすい、実況しやすいスピードで、自然に歩いてください。
ポイントは歩く際に、足の感覚を丁寧に感じることです。足をあげると同時に、あげるという動きを感じてみる。足を運ぶときは、運ぶという動きを感じてみる。足をおろすときは、おろすという動きを感じてみる。
はじめはうまくいかないかもしれませんが、とにかくチャレンジして下さい。どうしてもできないと思うときも「左足、上げます、運びます、降ろします、右足、上げます、運びます、降ろします…」と隙間なく実況中継することだけでもつづけてみて下さい。徐々にできるようになります。
また、このシンプルさに飽きてきてつまらなくなって、頭はどこかへ逃げたくなるかもしれません。気にせずにつづけてみて下さい。
歩くということは無意味なことではなくて、人生の大事な一部ですから、シンプルだと軽視するわけにはいきません。私たちはいろいろ複雑なことをしていると思っていますが、生きる上で人々が行っているすべての行為を分析してみると、すべてがあきれるほどシンプルであることがわかります。それこそが、複雑な人生に対する答なのです。
初心者には歩く冥想が入りやすいでしょう。ブッダの時代から、悟りを開いた人は、坐る冥想より長い時間歩く実践をすることによって成長しました。歩く冥想は、眠くならないし、早く落ち着くし、体と心の調和が速やかに実現できる実践方法なのです。
7. 立つヴィパッサナー実践法
いま座っているということにして、「立つ」実践の方法を説明してみましょう。
できるだけゆっくりと、手の動き、からだの動きを実況しながら、立って下さい。立ち上がったら、「背中を伸ばします」と背筋を伸ばして下さい。「手を動かします、手を組みます」などと実況しながら両手を前か後ろに軽く結んで下さい。目は半眼にして下さい。意識を足の裏にしっかりと向けて下さい。
何も考えず、単純に、「立ってます、感じてます、立ってます、感じてます…」と足の裏に集中して、実況中継をつづけて下さい。立つ冥想実践は10分間くらいで十分です。
8. 坐るヴィパッサナー実践法
座布団か椅子を用意します。
「坐ります」「しゃがみます」「手を動かします」などと動作を実況中継しながら、楽な形で座ります。足を組む場合は「足を組みます」と足を組み、「背筋を伸ばします」と、実況中継しながら背中をまっすぐにします。「目を閉じます」と目を閉じます。三回くらい「吸います、吐きます」と実況しながら深呼吸します。
次に「待ちます」と、自分の中に生じてくるものを待ちます。
それから、「膨らみ」「縮み」「痛み」「しびれ」など、気になるからだの感覚を、実況し続けます。
「雑念」「妄想」「眠気」「苛立ち」などの心の感覚も、実況します。どれかひとつのことに集中する必要はありません。ありのままの状態を実況中継します。
坐る冥想は、自分のペースで、15分~45分間くらいすればいいでしょう。無理にがんばって長く座る必要はありません。冥想を終了するときは、ひとつひとつの動作を丁寧に実況しながら「終わります」としっかり確認してから終えて下さい。
■回向の文
仏法僧の三宝に礼拝、帰依し、戒をまもり、慈悲の冥想と、ヴィパッサナー修行によって積まれたこの功徳を、神々、先祖、祖父母、両親、親族、恩師をはじめとし、一切の生きとし生けるものに、回向いたします。
この功徳によって、すべての生きとし生けるものが幸福に暮らせますように。
そして、解脱が得られますように。
■ご自分でなさる時、慈悲の冥想を一通りしてから、ヴィパッサナー実践を行い、終わって時間があればもう一度簡単に慈悲の冥想をして、最後にこの回向の文を唱えます。やはり、唱えるならば静かに一句一句に心を込めて、そのつもりになってとなえてみてください。
※日本テーラワーダ仏教協会のHPから引用
http://www.j-theravada.net/
~生きとし生けるものが幸せでありますように~
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