2014/8/7 KTVアンカー「リアル ~“知ること”で支える発達障害~」

  • 10 years ago
「無理!」

地面の草や枯れ葉を踏まないように、細心の注意を払う宮原樹央(なお)くん。

なおくんは、虫、草、木、土…といった、自然のものが苦手です。
それは、なおくんの持つ発達障害の特性のためです。



発達障害とは、生まれつきの脳の機能によって認知や行動にこだわりや偏りがあり、
そのために対人関係や社会適応に困難さを抱える場合もあります。

母親の由美さんは、なおくんが小さい頃は、そういった特性がわかりませんでした。

「訳がわからない時は、それに対して怒ってばっかりで、
『なんでそんなことできないの』じゃないけど、ずっと怒ってる状態ばっかりやったんですけど、
それがまあ、考え方変えたり、いろいろするなかで、受け入れられるように
夫婦でがんばってこれたので、いいことかなっていうふうに思ってます」(宮原由美さん)



子どもに発達障害があると、子育てが通常より難しく、多くの親が悩みを抱えることになります。


発達障害がある子どもをもつ母親たち。
子育ての大変さはもちろん、周囲の偏見や無理解にも悩んでいます。

「姉に、『なんでこんなふうに育てたの?』って。
 母にも、『あなたの子どもだから楽しみにしてたのに』って、
 ほんとにそれを言われたときはショックで」(母親A)

「自分の子どもだけど、なかなか受け入れる?受け入れるっていうか…
 自分の、『この年になったらこうだろう』っていう形に
 合ってないということに対して理解できなかったので、
 それを(他人に)理解しろっていうのは、少し酷なことなのかなっていうのは、やっとわかる…
 だからそれが、甘えだとか、わがままだとか、っていうふうには見て欲しくなくって…」
(母親B)

「うまくいってる、関係、お母さんと?」(宮原由美さん)

由美さんも子育てに悩んでいましたが、
あることをきっかけに樹央くんの発達障害とうまく向き合えるようになりました。

それは、ペアレントトレーニングという親のための講座。

発達障害があるために育てにくい子どもたちの特性を理解し、
好ましい行動を増やすためのスキルを学びます。

由美さんはいま、トレーナーとして親たちに教えています。

「お母さん自身がお子さんにどう接していいかがわからない状態があると思うんですよ、
 落ち着きがないとか、突然パニックを起こすとか。
 お子さんが『なんでこういうふうになってるんかな』っていうのを
 特性をふまえながら、理解をしていきながら、お母さんがたが対処の仕方を学ぶ。
 お母さんがたが子どもさんを理解していく、親子関係を築き直す。
 もしくはいい親子関係を築いて行くという作業をしていく」(宮原由美さん)

ペアレントトレーニングを受けた母親たちは、自分と子どもの変化を感じていました。

「私自身が子どもの気持ちをわかることができた。
 はじめてつらさとかに気づいてあげれたっていうのが、
 受けてから実際1年後ぐらいだったんですね」(母親A)

「今までだから、子どもに対して、『これがよくない、できてない』とか、
 そういう子ども(の一面)ばっかり見てたんですけど、
 怒るときも褒めるときも、少し自分と向き合って、
 少し冷静になってできるようになったかなっていうところが、
 ちょっとは変われたんじゃないかな」(母親B)

 
悩む親たちを、温かく支える会もあります。

「(発達障害の)ADHDです。現在35歳、会社員です。26か27の時に診断をうけました」
(自助グループ「Blue Moon」代表 石橋尋志さん)
 
発達障害がある、石橋尋志(ひろし)さん。3年前に堺市で、当事者の会をつくりました。



 
 
「中2の男の子が高機能自閉症って言われたり、アスペルガーって言われたり、
 みたいな感じで、いまひきこもって、1年過ぎました。
 ひきこもりは相変わらずひきこもりなんですけど、自分の部屋に閉じこもってたのが、
 ふらっと家の中をうろうろしだして…るので、どう(背中を)押したらいいのかな…」
(参加した母親)

「(あせって)押したらあかん!(笑)」
(石橋さん)

「5年生の娘が、広汎性発達障害かなという感じです。
 ちっちゃい時から娘に、親的な愛情をあまりもてないようなところがあるので…
 それを…変えたいなと思いながら」
(参加した母親)

「そこに自覚があるんや・・・、偉い偉い・・・」

この日は、発達障害がある子どもを持ち、悩みを抱える母親に、
当事者や先輩の母親たちがアドバイスしました。

「愛情持てないからって当然ですよ、愛情持てませんよ、(子どもに)反応がなければね。
 そこはいろんな人がみんな経験してる中で、絶対OKだと思います。」
(成人した発達障害の子を持つ母)

「今やから、思い出すと、おかんごめんなって(笑)。育てにくい子でごめんなって」
(石橋さん)

「わたしたちのような子どもができると、お母さんってまじめなんですよ。
 どうしても考えちゃう、自分を責めちゃう。しんどならない程度に考えたほうがいいです」
(発達障害の当事者)

「すごく緊張しながら来たんですけど、
 大人のかたの話とか、息子さんとかが成人の方のお話がすごく多かったので、
(うちは)まだ小学生なので、今しかどうしても見えてないですけども、
 5年後10年後の先を、なんとなく具体的に希望が見えたなっていうことが、
 今日はほんとに良かったなと」(参加した母親)

 
 
 
「このような部屋もございます。ここは…あえて片付けてない」
(発達障害の笹森理恵さん)



2年前に、次男・一歩(かずほ)くんが、ひどいパニックを起こし、荒らした部屋。
母親の理絵さんは、片付けないままにしています。

一歩くんは、子どもの頃発達障害と診断されました。
今年の春、中学校を卒業しましたが、高校には行かず、自分の部屋にひきこもっています。

笹森家は5人家族。

理絵さん自身も32歳のとき発達障害と診断され、3人の子どもにも発達障害があります。

13年前に撮影したビデオ。
 
この頃の理絵さんは、子育てに悩み、母親としての自分に全く自信がもてず、
やがて、うつ病と診断されるまで、精神的に追いつめられていきました。



「わたしの思うようにならないと、許せないじゃないけど、理解ができないから、イライラしてね、ほんとに。
 手が出たり、口が出たりとかして、すごいしんどかったですね。
『なんでこんなふうになんの?』
『他の子はみんな一言いったら、すっとできることが、なんでうちは1時間も2時間もかかるの?』
 って言って、パニックして泣きわめきますでしょ。しんどかったですね」


理絵さんはいま、発達障害について知ってもらうための活動を積極的に行っています。

「『育ててあげます』って言うよりかは、一緒に生きていきましょかぐらいのね・・・」
(笹森理恵さん)

暗闇の中で、もがいていた理絵さんは、
自分と子どもたちの発達障害を受け入れることで、大きく変わることができました。続き http://www.ktv.jp/anchor/feature/2014_08_07.html
  

  

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