踊るポストカード 迫川尚子写真展『置いてけぼりの時間』 2014.1 BERG

  • 11 年前
置いてけぼりって、そういう掘が江戸時代に今の錦糸町辺りにあったそうです。
本所七不思議の一つで、その掘は魚がよく釣れるのですが、釣った後に「置いてけ」という声がして、怖くて逃げ帰ると、籠の中に一匹も魚がいないという怪談です。
私は、昔から町のスナップを撮っています。ホームレス問題に元々関心はありましたけれど、新宿ダンボール村は町歩きの延長で撮りましたし、最近反原発デモによく参加しますが、そこで撮る写真もそういう感覚です。
結局、私は町で何を撮っているのか?と自分の写真を眺めながら考えていたら、「置いてけぼりの時間じゃない?」と店長が横から口をはさみました。
確かに、決定的瞬間というより、そこに流れている時間なんですね、私の写真て。
知らず知らず過ぎ去った、でも、思い出すとなつかしいような悲しいようなおかしいような怖いような。
うん、私が撮っているのは町に置いてけぼりにした時間なのかもしれない。

迫川尚子


動画と音楽/井野朋也(置いてけのテーマ曲)

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