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00:00大正八年。この年インフルエンザが全国的に大流行し、そのおかげで出席に数不足のベニオもめでたく卒業できた。
00:13一方、日本人の馬族がいるという聞き込みに、もしや松尉かと心はずませて、ベニオは取材旅行の名目で満州へ。
00:24ところが、同じ列車の中で偶然ぶつかった謎の美女、その夫は松尉と瓜二つのサーシャ・メハイロ夫婿。そもそも彼は何者か。
00:35それを確かめるすれもなく、運命の列車は右と左へ。春はいつ来る?
00:41ハイカラさん。
00:51はい、親分。本場の肉まん。
00:54おいしそう。
00:56痛っ!
01:10どうしたのかしら。こんな駅でもないところで止まったりした。
01:16お兄さん。
01:21どうしたのかしら。
01:26先輩!
01:30分かったんですか、親分。
01:32いや、全然。
01:34静まれ!静まれ!
01:37懐かしい日本語。
01:39我々はこの地方の治安を預かっている日本の駐在部隊である。
01:43この先の村が馬族に襲われた。危険なので、軍命令によってこの列車を一重止める。
01:52馬族。
01:53ああ、ついてるわ。こんなに早く馬族にぶつかるなんて。その馬族もしや松尉では。
02:05石殻、詳しいこと聞き出してみようよ。おいで。
02:08はい、親分。やった!
02:10こら!どこへ行くか!
02:15ねえ、ちょっと。本部はどっち?
02:21あっちよ、だって。
02:36ここね。
02:37止まれ!
02:38何だ何だ!この揉めてる時に!
02:41え、実は、私たち東京から来た雑誌記者なんですが、満州における日本の駐在部隊の取材をしたいと思いまして。
02:50あっ、そうでありますか。それは失礼しました。どうぞこちらへ。
02:58司令官殿!お客様であります!東京から雑誌社の記者が!
03:02何なり、取材とな。おお、この際宣伝にもなることだし、応じても損はないな。
03:12遠いところをご苦労。私は責任者の陰年だが。
03:19陰年中佐!
03:20おお、よく知っておるな。私も有名になったもんだ。
03:25しかし、中佐ではないぞ。今は昇格して大佐になったんだ。
03:29ええ、そうですか。満州に転任になったと聞いたけど。
03:37お前は異住院の稲漬けのジャジャンマ娘!
03:40こんなところでお会いしようとはね。
03:45陰年、陰年中佐。
03:49忘れるものですか。お酒の上のことを根にもって、私の勝意をロシアに追いやったのは、この人!
03:59勝意が死んだと聞かされた時は。
04:04いや、その説は失礼したね、君。いや、そんな怖い顔を。
04:09殺してやりたいとまで思った。
04:12でも、実は、満州における日本軍の活躍を取材したいと思いまして。
04:21そうか、そうか。いやあ、君もなかなか人間が丸くなった。
04:26私の名があることなら、何なりと取材してくれ。
04:30まず、責任者の陰年大佐は、落胸を逆さにしたような顔、目つきは陰犬、富士山型のウチョボ口で、加えて恐怖のてんてん眉毛と。
04:41きついなあ。
04:44それで大佐、相手の馬族ですが、日本人とかの噂。
04:48うん、ロシア戦線からの逃亡兵という噂もあるが、はっきりとは分かっておらん。
04:54じゃあ、やっぱりその人だわ。
04:58このあたりでは黒い狼とあだなされておる。なぜか日本軍の警備している村ばかり襲うんだ。
05:05じゃあ、日本軍に恨みでも?
05:08かもしれん。一度狙った獲物は必ず仕留める。我が軍としても手を焼いておる。
05:14手口は残忍にして陰犬。まったく狼のようなやつじゃ。
05:19あら、あなたには負けますわ。
05:22なぬ?
05:24では、取材を終わります。
05:26終わるってまだ何も答えとらんじゃないか。
05:29いえ、いいんです。馬族のことさえ聞けば。
05:32では、ここらでお写真を撮らせていただきます。
05:35牛頃、用意はいいわね。
05:37へえ、おやぶん。
05:38おやぶん。
05:43よし、いいぞ。
05:47せーの。
05:54まあ、このぐらいの復讐は許されるだろう。
05:58大佐殿。馬族が身のしどきを。
06:03何?
06:05ば、ばかな。こんな大金どこにあるって言うんだ。
06:08しかし、七時までに身のしどきを届けないときには、人質の命は保証しないと。
06:13大金?
06:15人質?
06:17ああ、村長の娘をさらって行きよった。
06:20まあ、かわいそう。身のしどき出してあげなさいよ。
06:24気軽に言ってくれるな。この復讐下にどこにそんな大金があると言うんだ。
06:29大佐殿。
06:30大佐殿。
06:32明日は給料日でありますから、あの金を。
06:36あら、お金あるの?
06:38ええ。奴らは我が軍の給料日と承知の上で要求をしとるのです。
06:43大佐殿。
06:45ええ、いかん。あの金を渡したら、わしの月給はどうなる?
06:49貴様や兵隊たちの生活はどうなる?
06:52いかん。とんでもない。
06:54痛い。
06:56いや、敵に弱いところを見せてはためにならぬ。
06:58これも作戦のうちでな。
07:02あの山に住んでいることはわかってるんですがね。
07:06いや、下手に刺激すれば人質どころか、我が軍を襲ってくる。
07:13あの山に、あの山の中に馬族たちがいる。
07:18将尉かもしれない人がいる。
07:22それが本当に将尉なのか。
07:38銀年大佐、あたしと人質を交換してください。
07:42ええ、親分、なんてことを。
07:45人質を交換してください。
07:46親分、なんてことを。
07:48人質を助けて、家族のもとへ返してあげてください。
07:52あたしが身代わりになりますから。
07:55親分。
07:57丑頃、子欠にらずんば小路を得ず。
08:01いつまでもここにいたんじゃ、馬族の親分に会えないわ。
08:05実際に会って確かめなくちゃ。
08:07そんなこと言ったって、親分。
08:10女のみで、もしものことがあったら。
08:12丑頃、うれしいわ。
08:14やっとあんたもあたしを女と。
08:17もちろんでさ、親分を人質なんかにとったら、
08:20その馬族は運のつき、あたしはその馬族が。
08:24気の毒で、気の毒で、もう。
08:30ぎわっと聞きました。
08:34ありがとうございます。
08:36ありがとうございます。
08:38おかげで娘に助かります、隊長さん。
08:40うむ。わしは困った人を見ると、助けずにはおれん勝負んでな。
08:46え?
08:48ところで、馬には乗れるかね。
08:51あ、まあ、まあ、なんとか。
08:54親分、気をつけて。
09:02いよいよ、狼に会える。
09:10おやまに何をだ。
09:12本人か。
09:14そうよ、ビーダーに会いたいの。
09:19なに、人質の交換?
09:22おう、女か。
09:24おやまに何をだ。
09:26本人か。
09:28おやまに何をだ。
09:30本人か。
09:32そうよ、ビーダーに会いたいの。
09:35何、人質の交換?
09:38おう、女か。
09:40いい度胸だ、応じてやれ。
09:48よかった、これで心配ないわ。
09:51おい、代わりの人質、こっちへ来い。
09:54では、よろしく頼むぞ。
10:01ねえねえ、あんたたちのリーダー、日本人じゃないの?
10:05そうだ。
10:06本当?
10:08じゃあ、ひょっとして、小倉の部隊に行った、ロシアからの逃亡兵じゃない?
10:12詳しいな、お前。
10:14ねえねえ、その人、ハンサムで、背が高い?
10:17まあな。
10:19やったー、やっぱり勝利に違いないわ。
10:23人質になって喜んでる日本の女、ここ、変あるか。
10:28ここで静かにしてろ。
10:32なによ、こんな汚いとこに閉じ込めちゃって。
10:36どうして、松尉が日本軍をお目の敵にするのかしら。
10:41ねえ、リーダーに会わせてくれないの?
10:44バカ、頭が人質なんかに会うか。
10:47何ですって、そんなバカな。
10:49ここまで来て、顔も見ずに、お目お目と引き下がるっての?
10:53ああ、だせだせ、何のためにここに来たと思ってんのよ。
10:57こんな見にくい顔見るためじゃないとこだね。
11:03松尉、早く助けに来て。
11:06はい。
11:14なに、頭のおかしい女だと。
11:17はい、あたしの顔を見にくいだなんて、あたしナルシストなのにもいやー。
11:23おかしなものを押しつけやがって。
11:26どうりでな。
11:28別にそういうわけでは。
11:30いいか。
11:327時までに身のしろ金を持ってこないときには、これだからな。
11:37わかった、必ず持ってくる。
11:57親分、大丈夫かな。
11:59親分、大丈夫かな。
12:08やれやれ、これで片付いた。
12:13ちょ、ちょっと、あんた身のしろ金の方は。
12:16そんなもの出すわけがない。
12:18そもそもわしの受けている命令は、この村の治安を維持する、ということだけだ。
12:22ね。
12:23なんだと。
12:24それじゃ、貴様最初から親分を見殺しにするつもりで。
12:28この。
12:30もう、頭きた。
12:33終わった。
12:34この。
12:36誰か、誰か助けてくれ。
12:38殺される。
12:40その男をぶち込んでおけ。
12:42ことが済むまでな。
12:48大人しくくるんだ。
12:49ええ。
12:53はあ、はあ、はあ。
12:57あの子娘、異常因の一件を勘付いているらしい。
13:01馬族に片付けさせよう。
13:04親分、親分。
13:07やっぱり止めるんだって。
13:09どうか無事でいておくなさいよ。
13:22ああ、ああ。
13:24これじゃしょうがないわ。
13:27苦労してやっとここまで来たのに。
13:30おまけに松尾がすぐそばにいるってのに。
13:36よし、こうなったら見てろ。
13:38松尾に会うまでは帰らないから。
13:40女の一来、鬼より怖いって。
13:43ねえ。
13:44バンバン、バンバン、バンバン、バンバン、バンバン、バンバン、バンバン。
13:50ねえ、パンペサントラ。
13:54あら、あら、あら。
13:58お腹痛いの。押してくださる。
14:04はい、はい、ひとびっちゃんただいますね。
14:08えー、どこ、どこ、どこにいるの?
14:11今だ!
14:12うわっ。
14:17ちょっとランマルのまねしただけなのに。
14:21あたしとほんとは色っぽいのね。
14:23よく言うわ。
14:31ちょっと大きすぎたかしら、これ。
14:34あらら。
14:40えっと、おかしらの部屋は?
14:48うわっ。
14:59失礼しました、お嬢さん。
15:01いえ、どういた?
15:03あ、しまった。
15:06バカ者ども!
15:07人質が逃げ出したのに何をしてるか!
15:10これはおかしら、どうも気がつかなくて。
15:12すいません、おかしら。
15:14おかしら。
15:15オオカミ。
15:16こ、この人。
15:19違う。
15:21ショーイじゃない。
15:23ショーイじゃない。
15:27この人じゃない。
15:28この人違う。
15:32バカ!
15:33バカバカ!
15:34顔が違うから!
15:36何をするか、おかしらに向かって!
15:38今度は逃げられるな。
15:39しっかり見やすげえ。
15:40おかしら、ごめんなさい。
15:42でっきり男だとばかり思ってたもんで、ついその。
15:45それにしても、よく抜け出せたもんだ。
15:48まあ、ミノジロキンが来なければ死ぬんじゃ無理もないから。
16:01あるある、マッシュまで来た。
16:05こんなりゃ、こんなとこ一秒だって痛くないわ。
16:08早くミノジロキン来ないかな。
16:26どうやらお姉さんは見捨てられたらしいな。
16:28気配もねえ。
16:32そんなはずないわ。
16:34ミノジロキンが来ないと、あたしどうなるの?
16:38おめえら、適当に処分しろ。
16:40へえ、毎度ありがとう。そうかしら。
16:43いただきます。
16:44こんなぜ!
16:46どうか簡単に。
16:48いただかれちゃって。
16:50たまるもんですか。
16:53お、おかしら、て、てこわい人質。
16:58だらしのねえ野郎どもだ。
17:00ここへ連れて来い。
17:06俺はどっちかというと、グラマーで美人好みなのだが。
17:10な、何する気を。
17:12ま、この際だからな。
17:16いや、やめて。
17:18松尉、助けて。
17:20松尉。
17:22松尉。
17:26松尉だと。松尉と言ったのか、今。
17:29そうよ。松尉はあたしの言い名付けなんだから。
17:32もし乱暴なんかすると承知しないんだから。
17:37そういえば、お、見事なチンクシャー。
17:40それに加えて美しいナインペタン。
17:49もしあんたの言い名付けというのは、
17:52イジュインしのぶ松尉殿では。
17:55え、イジュイン。
17:58あなた、松尉を知ってるの。
18:03元帝国陸軍第十日団所属、
18:06鬼島軍曹であります。
18:08イジュイン松尉殿の招待におりました。
18:11何ですって。
18:18こ、これはどうもどうもおかしら、
18:20まだいただいちゃってないですか。
18:23バカ野郎。
18:25このお方は俺の命の恩人の言い名付けさんだ。
18:29ぐずぐずしてないで、さっさともてなしの用意でもせんか。
18:43すっごいご馳走。
18:46この大群の血が。
18:56あなたでしょ。
18:59さっきあたし男と間違えた人。
19:02すみません。
19:04酒持ってこー。
19:06気分気分。
19:12おい、もっとちゃんちゃんサービスしてあげろ。
19:15困るよ、おかしらたらコロコロコロコロ気が変わる。
19:26それで、
19:29イジュイン松尉殿を探しに満州まで。
19:32ええ、日本人らしい馬族がいると聞いて、
19:35もしや松尉かと。
19:38人違いだったわけだな。
19:43鬼島さん。
19:46松尉の行方をご存知なら教えてください。
19:49最後まで松尉と一緒にいた部下というのは、
19:53もしあなたでは。
19:56やっぱりそうなんですね。
19:59お願いです。教えてください。
20:07日本に帰ったら結婚する。
20:10荒っぽいけど、本当は優しくて大らかで、
20:13可憐なマリンカの花のような人だ。
20:22いきなりイジュイン松尉殿に行く。
20:33船は私を見殺しにしたぞ。
20:38よく聞け!皆決してイヌジュにはするな!
20:41生きて日本に帰るために戦うんだ!
20:52むごい むごすぎて 俺には話せねえ
20:55おにじまさん 話して
20:59おにじまさん
21:06教えて それからどうなったの
21:11国を捨て 故郷を捨てて 馬族に身を投じたおにじまだが
21:16命の恩人の生意の言い名づけに 彼は死んだとどうして言えようか
21:25ここは大陸満中里 赤い夕日が身を焦がす

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