100分de名著
ジーン・シャープ“独裁体制から民主主義へ”
世界中で読まれる「抵抗運動の教科書」
旧ソ連国家の独立運動、ミャンマーの民主化運動、そして「アラブの春」から香港雨傘運動まで――。巨大な権力と戦う人々の傍らには、常に一冊の本があった。「非暴力闘争」による権力打倒のために書かれた本書は、必ずしも道徳的にも宗教的にも優れていない、「普通の人々」が実践できる抵抗運動を指南する。戦略なき平和論から脱却し、民主主義や自由の真価を問い直すために必読の書!
中見 真理 講師
清泉女子大学名誉教授。1949年、東京都生まれ。専門は国際関係思想史。一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。主な著書に『柳宗悦――時代と思想』(東京大学出版会)、『柳宗悦――「複合の美」の思想』(岩波新書)など。
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(1)独裁体制は見かけほど強くない
初回放送日: 2023年1月9日
一見強固で揺るがないようにみえる独裁体制には、子細に分析すると、大きな弱点が存在すると政治学者ジーン・シャープは言う。そこを見定めることが肝要だというのだ。
独裁体制は単独では成り立たない。有形・無形の民衆による支持があってこそ成り立つ。その力の源を断つことで容易に瓦解する弱さが潜んでいるという。独裁体制に終止符を打てるかどうかは、そのことに民衆が気づくことができるかどうか、その上で集団として行動を起こすことができるかにかかっているという。第一回は、シャープの深い洞察がこめられた権力観・政治観を通して、独裁体制のあり方やその弱点を見抜く方法を学ぶ。
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(2)非暴力という「武器」
非暴力闘争は、小さな運動の段階的な積み重ねを通じて大規模な抵抗勢力を形成、権力を支えている力の源を断っていく徹底的に戦略的な方法だ。そこには戦略、戦術、武器の体系など、通常の戦争と全く同様のプロセスが展開される。残虐行為による犠牲も生じるが、それすらも運動に利用する冷徹さも辞さない。第二回は、非暴力闘争がなぜ有効かを解き明かし、そのための全体計画や戦略的思考をどう練り上げればよいかを明らかにする。
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(3)非暴力ゆえの勝利
ソ連からの軍事侵攻を非暴力ではね返し独立を勝ち取ったリトアニアでは「サユディス」という市民組織が運動の中核として機能、やがて「並行政府」としての役割を果たし統制のとれた粘り強い運動が継続した。つまり成功の肝は、非暴力闘争が「堅固で鍛錬されたものであり続けること」。決して一時的な盛り上がりや無計画性に溺れてはならないという。第三回は、最終的に独裁体制を崩壊させる決定打となるものとは何かを考える。
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(4)新たな独裁者を生まないために(最終回)
運動つぶしのための反対キャンペーン、大多数の人に対し抑圧が巧妙に隠蔽される先進国、自発的に隷従を求める人類の本能的性向、圧倒的な威嚇によって生み出される恐怖心といった問題に対して、シャープの方法は課題を残す。独裁権力側から研究され、機先を制されるようになって以降、こうした問題をどう克服していったらよいのか? 第四回は、シャープ以降の思想動向なども交えて、非暴力闘争の課題と可能性を見つめる。
ジーン・シャープ“独裁体制から民主主義へ”
世界中で読まれる「抵抗運動の教科書」
旧ソ連国家の独立運動、ミャンマーの民主化運動、そして「アラブの春」から香港雨傘運動まで――。巨大な権力と戦う人々の傍らには、常に一冊の本があった。「非暴力闘争」による権力打倒のために書かれた本書は、必ずしも道徳的にも宗教的にも優れていない、「普通の人々」が実践できる抵抗運動を指南する。戦略なき平和論から脱却し、民主主義や自由の真価を問い直すために必読の書!
中見 真理 講師
清泉女子大学名誉教授。1949年、東京都生まれ。専門は国際関係思想史。一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。主な著書に『柳宗悦――時代と思想』(東京大学出版会)、『柳宗悦――「複合の美」の思想』(岩波新書)など。
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(1)独裁体制は見かけほど強くない
初回放送日: 2023年1月9日
一見強固で揺るがないようにみえる独裁体制には、子細に分析すると、大きな弱点が存在すると政治学者ジーン・シャープは言う。そこを見定めることが肝要だというのだ。
独裁体制は単独では成り立たない。有形・無形の民衆による支持があってこそ成り立つ。その力の源を断つことで容易に瓦解する弱さが潜んでいるという。独裁体制に終止符を打てるかどうかは、そのことに民衆が気づくことができるかどうか、その上で集団として行動を起こすことができるかにかかっているという。第一回は、シャープの深い洞察がこめられた権力観・政治観を通して、独裁体制のあり方やその弱点を見抜く方法を学ぶ。
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(2)非暴力という「武器」
非暴力闘争は、小さな運動の段階的な積み重ねを通じて大規模な抵抗勢力を形成、権力を支えている力の源を断っていく徹底的に戦略的な方法だ。そこには戦略、戦術、武器の体系など、通常の戦争と全く同様のプロセスが展開される。残虐行為による犠牲も生じるが、それすらも運動に利用する冷徹さも辞さない。第二回は、非暴力闘争がなぜ有効かを解き明かし、そのための全体計画や戦略的思考をどう練り上げればよいかを明らかにする。
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(3)非暴力ゆえの勝利
ソ連からの軍事侵攻を非暴力ではね返し独立を勝ち取ったリトアニアでは「サユディス」という市民組織が運動の中核として機能、やがて「並行政府」としての役割を果たし統制のとれた粘り強い運動が継続した。つまり成功の肝は、非暴力闘争が「堅固で鍛錬されたものであり続けること」。決して一時的な盛り上がりや無計画性に溺れてはならないという。第三回は、最終的に独裁体制を崩壊させる決定打となるものとは何かを考える。
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(4)新たな独裁者を生まないために(最終回)
運動つぶしのための反対キャンペーン、大多数の人に対し抑圧が巧妙に隠蔽される先進国、自発的に隷従を求める人類の本能的性向、圧倒的な威嚇によって生み出される恐怖心といった問題に対して、シャープの方法は課題を残す。独裁権力側から研究され、機先を制されるようになって以降、こうした問題をどう克服していったらよいのか? 第四回は、シャープ以降の思想動向なども交えて、非暴力闘争の課題と可能性を見つめる。
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