2014年3月25日の山火事　七覚山円楽寺～六角堂石塔群

2014年3月25日　七覚山の山火事とその消火活動を偶然に撮影した。
直上の尾根には五社神社と、近年発掘調査が進められた六角堂跡　行者堂跡などの遺跡がある。その中世寺院にまつわる歴史的背景がちょっと面白い。

http://www.pref.yamanashi.jp/maizou-bnk/topics/1-100/0042.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E6%A5%BD%E5%AF%BA

http://nire.main.jp/rouman/sinwa/kaikoku.htm
(F3→"七覚山"でページ内検索)

(以下フォントのある限りで、原文のまま)
七覚山円楽寺ハ大宝元年(701)役の小角ノ草創ナリト伝ウ
役の行者堂ハ七覚山ノ権現山頂ニ在リ
行者ノ像・老母ノ像・前鬼・後鬼・皆ナ行者の自刻ナリト伝ウ
毎歳四月十五日　七覚御幸ト称シ本山・当山ノ山伏　数十人　
役ノ行者　富士山ヘ初入ノ式ト云ウ事ヲ為ス　云々　州人群集ナリト・

富士山北口登山道二合目ニ役ノ行者堂アリ
本尊ハ役の行者ナリ　七覚山円楽寺　兼帯ス
古ヘ　役の小角此ノ山ヲ踏ミ分ケ始メテ頂上マデ極ムト伝ウ
円楽寺ハ山伏ノ住山ニテ
其徒　小角ノ跡ヲ追ヒ　此ノ山ニ入ルヲ　修行トス・
故ニ　小角ヲ此ノ地ニ　祭ルナルベシ　此ノ処ニテハ　役銭十二銭ヲ収ム
毎歳六・七月　円楽寺ヨリ僧侶数十人来リテ修法アリ・
(中略)
金剛杖ト称ス杖ヲ造リテ　道者ニ之ヲ売ル　三品アリ
上直　百銭　・　中　五十文　・　下　十六文　・　又役銭八文ヲ収ム・
・文化年間ノ松平定能集ヨリ・

尚　三年目毎ニ　江戸深川　八幡社内ニ　出開帳セリ・

円ノ行者堂の東北隣に朱塗りの木造建築で六角堂あり、
内に源頼朝公の位牌安置す、頼朝公の墓所なりと伝う、
昭和三十四年　台風の為に行者堂、六角堂　共に崩壊す。

文明十九年(1487)二月
近衛房嗣ノ三男　聖護院道興大僧正　本州巡遊ノ徒次
回国雑記ニ　七覚山トイヘル霊地ニ登山ス
衆徒・山伏・両座　歴々ト住メル所ナリ・
暁更ニイタルマデ管絃酒宴興ヲツクシ侍リキ、
宿坊の花やうゝさきそめけるを見て

　つぼみ枝の
　花もをりしる
　この山に
　七つの　さとり
　ひらきて　しがな　　　　　　（　*1　註訳↓　）

此所ハ中道・駿州ノ往還ニ係ル
自ﾚ古兵革ノ為メニ侵椋ヲ被ルコト数々ナリ

正平六年(1351)十二月
足利兄弟ノ不和カラ直義方ノ武田貞政ガ
尊氏方ノ小笠原氏ノ軍ト
甲斐　七覚寺デ合戦　云々

延徳四年（1492）六月十一日
武田氏兄弟相論
コレヨリ甲州　乱国ニ成リ始ル也

永正十三年（1516）九月十六日
駿河ノ今川氏親ガ西郡ノ大井氏ヲ授ケテ乱入
七覚門徒衆ハ武田信虎ヲ授ケテ
今川方ノ石川勢ト合戦
七覚　悉ク　焼亡・・・・

天正十年（1582）三月
織田信長　攻メ来リテ焼討レ
爲ニ　全ク　荒廢ニ属セリ・

天正十年七月九日
徳川家康　右左口ヘ入御
仮御殿ヲ建テ御本営トナシ此所ニ陳ス
二十四日迄　御逗留　国事ヲ処理セラレシト伝
コノ時、　右左口村ヘ諸免許状ヲ賜ハル・
今ニ郷倉ニ奉蔵セリ
松平主殿助　家忠　右左口ノ砦ヲ修築シ翌年マデ警固セシ処ナリ
此ノ後モ　徳川家康　天正十七年マデニ都合七度　右左口ニ立寄ッタト伝ウ
天正十一年　二月　七覚山　寺領改帳


*1　註訳↑
「てしがな」古語辞典より引用
終助詞《接続》動詞の連用形、完了の助動詞「つ」「ぬ」の連用形「て」「に」に付く。〔自己の願望〕…たいものだ。…たいなあ。
終助詞「しが」に終助詞「な」が付いて一語化したもの。「てしがな」