障害者殺傷事件から１週間 “障害者の存在を”連帯の動きも
「相模原市の知的障害者施設で１９人の入所者が亡くなった事件から、今日（２日）で１週間です」
「この事件に強い危機感を抱いた人たちが今、障害者の存在を見つめ直してほしいと行動を起こしています」
◎事件から１週間 犠牲者へ祈り続く
事件から１週間。
相模原市の「津久井やまゆり園」には、今日も犠牲者を悼む人たちが次々と訪れました。
「利用者には何の罪もない。
せっかく生まれてきた命なのに。」
「障害持った人いなくなればいいって、重かった。
その言葉がとても厳しくて、私にはつらい言葉だった。」
◎事件への抗議の声は、障害者スポーツの世界でも…。
日本パラリンピック委員会 鳥原光憲会長
「共生社会への変革が一段と進みつつある今日、偏見に起因する凶悪な事件を断じて許すことはできない。」
パラリンピックを控えた選手団が、犠牲者への祈りをささげました。
◎前日までに準備か 身勝手な主張に…
殺人などの疑いで逮捕された施設の元職員、植松聖（うえまつ・さとし）容疑者。
警察の調べによりますと、１階の部屋の窓ガラスをハンマーで割って、施設に侵入したとみられています。
その直後、この部屋に入所する女性が大きな音に気づかなかったために、重い障害がある人だと判断し、刃物で襲ったという趣旨の供述をしているということです。
また、ハンマーと結束バンドは、事件前日の先月（７月）２５日に東京都内のホームセンターで購入していたことが捜査関係者への取材でわかりました。
警察は、事件の準備を前日までに終えていたとみています。
“障害者は不幸を作ることしかできない”。
事件の前から障害者を冒とくする言葉を繰り返していた植松容疑者。
その身勝手な主張は、多くの人に衝撃を与えています。
◎“まとわりつく不安” 振り払うために
東京大学の准教授を務める熊谷晋一郎（くまがや・しんいちろう）さんです。
生まれた時に酸欠状態になった後遺症で脳性まひを患い、車いすで生活しています。
障害者が襲われた今回の事件を、こう受け止めたといいます。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「障害者のままで生きていいという流れが一瞬にして失われるのではという危機感。
また半世紀戻ってしまうのではという危機感が、最初の私の衝撃としてあった。」
熊谷さんはリハビリを続けながら学校で学び、医師免許を取得。
小児科医として働いています。
今、大学で取り組んでいるのは「当事者研究」。
精神障害や発達障害がある人などが自分の症状に向き合い、その経験や視点を障害者にも優しい社会に役立てる研究です。
しかし、研究を通して交流してきた人たちからは、事件の後、不安の声が寄せられています。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「障害を持ちながら必死で生きていたけれど、今回の事件でそれを否定された気持ちになった、自分の尊厳が脅かされていると。」
障害者への偏見が広がっていくのではないか。
その不安は、熊谷さん自身も感じています。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「住み慣れた町を車いすで普段何気なく移動していたが、ふと誰かが自分を襲ったりしないかという危機意識が、あの事件以降まとわりつくような日常を今は過ごしています。」
熊谷さんは今週末、障害を抱える人やその支援者と一緒に、事件の犠牲者を追悼する集会を開く予定です。
障害者自身が自分たちの存在を認め合い、声を上げていくことが、今できる一歩だと感じています。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「ひびが入ってしまった地盤を、もう一度みんなで踏み固めよう。
確実に時計の針を未来の方向に回すことを誓おう。
立場をこえてそれをしようということが、今できること、一歩目として始められること。」
◎“悪意のまなざし” ひるまず前へ
「熊谷さんたちが準備している追悼集会は、今月（８月）６日、東京大学の駒場キャンパスで開かれるということです。」
「熊谷さんは『徐々に進められてきた障害者とともに生きる生活・社会が大きく傷つけられたのではないか』という見方をしていて、事件が象徴するような『悪意のまなざし』という表現をして、これに乗っ取られたような感じがすると話しているそうなんです。
こうした言葉は、私たち一人一人が胸に刻むべきではないかと思います。」
【「津久井やまゆり園」で亡くなった方たちを追悼する集会のご案内】
日時：2016年8月6日(土) 14:00～18:00
場所：東京大学先端科学技術研究センター
3号館南棟1階 ENEOSホール
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdt5_ZWRYLJo9WmmAQYiY-vbZKunfDO1Qc8fnez_0E3CDPRtw/viewform
「相模原市の知的障害者施設で１９人の入所者が亡くなった事件から、今日（２日）で１週間です」
「この事件に強い危機感を抱いた人たちが今、障害者の存在を見つめ直してほしいと行動を起こしています」
◎事件から１週間 犠牲者へ祈り続く
事件から１週間。
相模原市の「津久井やまゆり園」には、今日も犠牲者を悼む人たちが次々と訪れました。
「利用者には何の罪もない。
せっかく生まれてきた命なのに。」
「障害持った人いなくなればいいって、重かった。
その言葉がとても厳しくて、私にはつらい言葉だった。」
◎事件への抗議の声は、障害者スポーツの世界でも…。
日本パラリンピック委員会 鳥原光憲会長
「共生社会への変革が一段と進みつつある今日、偏見に起因する凶悪な事件を断じて許すことはできない。」
パラリンピックを控えた選手団が、犠牲者への祈りをささげました。
◎前日までに準備か 身勝手な主張に…
殺人などの疑いで逮捕された施設の元職員、植松聖（うえまつ・さとし）容疑者。
警察の調べによりますと、１階の部屋の窓ガラスをハンマーで割って、施設に侵入したとみられています。
その直後、この部屋に入所する女性が大きな音に気づかなかったために、重い障害がある人だと判断し、刃物で襲ったという趣旨の供述をしているということです。
また、ハンマーと結束バンドは、事件前日の先月（７月）２５日に東京都内のホームセンターで購入していたことが捜査関係者への取材でわかりました。
警察は、事件の準備を前日までに終えていたとみています。
“障害者は不幸を作ることしかできない”。
事件の前から障害者を冒とくする言葉を繰り返していた植松容疑者。
その身勝手な主張は、多くの人に衝撃を与えています。
◎“まとわりつく不安” 振り払うために
東京大学の准教授を務める熊谷晋一郎（くまがや・しんいちろう）さんです。
生まれた時に酸欠状態になった後遺症で脳性まひを患い、車いすで生活しています。
障害者が襲われた今回の事件を、こう受け止めたといいます。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「障害者のままで生きていいという流れが一瞬にして失われるのではという危機感。
また半世紀戻ってしまうのではという危機感が、最初の私の衝撃としてあった。」
熊谷さんはリハビリを続けながら学校で学び、医師免許を取得。
小児科医として働いています。
今、大学で取り組んでいるのは「当事者研究」。
精神障害や発達障害がある人などが自分の症状に向き合い、その経験や視点を障害者にも優しい社会に役立てる研究です。
しかし、研究を通して交流してきた人たちからは、事件の後、不安の声が寄せられています。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「障害を持ちながら必死で生きていたけれど、今回の事件でそれを否定された気持ちになった、自分の尊厳が脅かされていると。」
障害者への偏見が広がっていくのではないか。
その不安は、熊谷さん自身も感じています。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「住み慣れた町を車いすで普段何気なく移動していたが、ふと誰かが自分を襲ったりしないかという危機意識が、あの事件以降まとわりつくような日常を今は過ごしています。」
熊谷さんは今週末、障害を抱える人やその支援者と一緒に、事件の犠牲者を追悼する集会を開く予定です。
障害者自身が自分たちの存在を認め合い、声を上げていくことが、今できる一歩だと感じています。
東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷晋一郎准教授
「ひびが入ってしまった地盤を、もう一度みんなで踏み固めよう。
確実に時計の針を未来の方向に回すことを誓おう。
立場をこえてそれをしようということが、今できること、一歩目として始められること。」
◎“悪意のまなざし” ひるまず前へ
「熊谷さんたちが準備している追悼集会は、今月（８月）６日、東京大学の駒場キャンパスで開かれるということです。」
「熊谷さんは『徐々に進められてきた障害者とともに生きる生活・社会が大きく傷つけられたのではないか』という見方をしていて、事件が象徴するような『悪意のまなざし』という表現をして、これに乗っ取られたような感じがすると話しているそうなんです。
こうした言葉は、私たち一人一人が胸に刻むべきではないかと思います。」
【「津久井やまゆり園」で亡くなった方たちを追悼する集会のご案内】
日時：2016年8月6日(土) 14:00～18:00
場所：東京大学先端科学技術研究センター
3号館南棟1階 ENEOSホール
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