• 8 年前
2年連続の本塁打キングへ、視界が晴れた。ヤクルト山田哲人内野手(23)が、同点の8回にリーグ単独トップとなる決勝の14号決勝ソロを放った。4回にも反撃の13号ソロを放っており、1日の巨人戦以来となる1試合2発の暴れっぷり。負ければ最下位転落だったDeNAとの直接対決に逆転勝ちし、再び盗塁とのリーグ2冠に立った。

 少しのことでは、動じない。同点の8回先頭。2球目からフォークが4球続いた。山田はバッテリーの揺さぶりにも、関係なかった。6球目もフォーク。だが、抜けた。ど真ん中の失投を確実に仕留めた。「(同じ球種の攻めで)修正したつもり。でも当たり的に入らないと思っていた。最後はファンの声援でボールも伸びてくれましたね」。リーグ単独トップの14号を左翼席の最前列に突き刺し、決勝のホームを踏んだ。

 ハプニングにもひるまなかった。2点を追う4回先頭。甘く入ったスライダーを完璧にたたいた。左中間スタンドへ放り込んだ汚名返上の13号だった。2回無死一塁の守備で捕球ミス。先制点のきっかけをつくった。「守れなかったら、打つしかない。集中していきました」と、2発の結果で示した。5回には今季12個目、昨季から26連続成功となる二盗も決めた。「数そのものを気にしてない」と言うが、再び本塁打と盗塁でリーグ2冠に立った。

 家族と過ごすつかの間が、局面の集中力を生んでいるのかもしれない。大阪・豊中市の実家に帰省する時期は毎年、年末だけ。多忙の中でも必ず、家族4人で神戸にある「三田アウトレット」に向かう。「この前は100万円を軽くいった気がする」。両親と姉へ、「今年もありがとうございました」という気持ちを込め、プレゼントを続ける。「毎年、どんどん金額が、すごくなっているけど」。活躍に比例して、増える購入額。幸せな時間と家族の喜ぶ顔が、うれしかった。「今年もまた、去年以上に頑張らないと」と、さらなる高みを自らに課す。

 負ければ、最下位転落だった直接対決。「そういうのは気にしていなかった」といつもの山田らしく、淡々と勝負に臨んでいた。今年もトリプルスリーを視界にとらえる男は、家族愛に支えられながら、快調なペースで打ち続けている。【栗田尚樹】

 ▼山田がリーグトップとなる13、14号。1試合2本塁打以上は5月1日巨人戦以来今季2度目で、通算では10度目となる。5回には今季12個目の盗塁を決めたが、今季はまだ盗塁失敗がなく、これで昨年8月1日阪神戦から26回連続で盗塁を成功中。盗塁の連続成功記録には11~15年福田(ソフトバンク)の32回があるが、山田はどこまで続けられるか。

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