精神障害”のある人が戦後70年をどう生きてきたのか。今、精神障害者の長期入院が大きな問題となっています。先進諸国の精神科の在院日数は平均20日程度ですが、日本では1年以上長期入院している人が20万人に上り、症状が良くなっても病院にとどまる「社会的入院」も数多くいると言われています。なぜ多くの患者が病院から出られないのでしょうか。背景には、患者の人権より治安を重視し、精神障害者を「隔離収容」してきた戦後の歴史があります。統合失調症やうつ病など精神疾患は誰でもかかりうる病。精神障害者もそうでない人も、どうしたらともに地域で暮らせるのか、当事者たちの歴史をたどり考えます。
★「こらーる・たいとう」のカフェ/ピア活動について
こらーる・たいとうは、精神障害者・知的障害者などで作るNPO法人。
番組冒頭で紹介した不定休のカフェを運営している。 ※300円定食は月およそ2回の特別価格。通常は500円。
また、最後のVTRで紹介した、ピア活動を実施。「当事者ピアサポーター」として月に数回、精神科病院を訪問し、入院患者の退院意欲を引き出す交流を続けている。
【精神障害者ピアサポートセンター こらーる・たいとう 】
〒156-0057 東京都墨田区向島3-2-1向島パークハイツ1F
電話: 03-5819-3651 FAX: 03-5819-3652
ホームページ:http://www5b.biglobe.ne.jp/~koraru/
★「大阪精神医療人権センター」について
1985年に作られた、精神障害者の人権を守るために活動するNPO法人。
週に1度、患者や家族から電話相談を受け付けているほか、
大阪府内の精神科病院を訪問、調査結果を公表し、設備や環境の改善を促している。
ホームページ:http://www.psy-jinken-osaka.org/
【出演者インタビュー】山本深雪さん「精神障害者でも相談できるような人間関係が地域に少なすぎるのでは」
《山本深雪さんプロフィール》
NPO法人大阪精神医療人権センター副代表
――今回番組へご出演されて、どのようなことを伝えたいという思いがありましたか。
精神科の治療を受けながら地域で暮らしている人があなたの地域にもいて、隣で暮らしているんですよということですね。
――精神障害者の戦後70年の歴史を振り返って、いかがでしたか。
精神障害のあるひとりの人間が危ない事件を起こしたかもしれません。でも、その人がどうしてそこに至ってしまったかというと、恐らく周りとあまり会話ができていなかったからだろうなと思うんですよね。相談できる関係というのが地域に少なすぎるのではないか、そう振り返えらずに、「病院に閉じ込めておけばいい」という関係を築いてきたことは、すごくもったいないと思います。そうやってこれまでも多くの人を閉鎖された中に閉じ込めてきてしまっているので……。
――精神障害の病状は環境によって変わっていくことができるということでしょうか。
少しでも話をすることができれば、いろいろな病状が和らぐと思います。私の場合は、友達が「ちょっと最近疲れているんじゃない?」とか、「少し思い込みが強すぎない?」というふうに感じたことを素直に言葉で表現してくれたので、行き詰まらずに我に返ることができました。そういう友達がいなかったら、きっと私は小さな世界に閉じこもって、より苦しんでいたかもしれないし、病状も悪くなっていたかもしれません。そして、ご両親もお子さんの様子がいつもと違う気がしたら、見守ることも大切ですけど、ちょっとした声掛けもしてほしいなと思います。「なんかいつもと違うけど、眠れている?」とか、普通の一言があるだけでありがたいと思いますね。
――当事者の方にはどのようなことを伝えたいですか。
病状には波がありますから、いいときもあればしんどいときもある。でも、しんどい時というのはすっと通過していくものなので、2週間くらい様子を見ようというくらいの腹の太さで向き合っていただければいいのかなと思います。そして、やっぱりいい時の表情を思い出していただくことが大事です。あなたがしんどくなった時も大丈夫だよ、あきらめなくてもいいよとお伝えしたいですね。
――そういう精神医療にしていくことが大切ということでしょうか。
そうですね。精神障害者と世間の関係をそんなふうに変えていきたいなと思います。これまでは他人事と思ってしまっていたから、どこかに閉じ込めておいたほうがいいという対応をしてきたわけですよね。でも、自分のこととか、家族の中の身近な問題だと思うと、それでいいとは思えないはず。みんながそういう意識を持って考えてほしいですね。
★松沢病院 日本精神医学資料館について
実際に数年前まで使われていた病棟に、過去の松沢病院の建物の様子や、患者が作った芸術作品、治療に使われた
道具などが展示されている。見学は予約が必要。
東京都立松沢病院
〒156-0057 東京都世田谷区上北沢2-1-1 電話: 03-3303-7211
★三枚橋病院について
1968年、群馬県太田市に精神科医の石川信義氏が創設した、日本で初めての全開放型病棟の精神科病院。
当時の精神科病院の自由・開放化/地域化運動の先駆けと言われる。
※現在は全開放型ではなく、閉鎖病棟も併設する
番組で紹介した共同住居は、現在はグループホームとして病院から独立した社会福祉法人が運営。
赤城会三枚橋病院
〒373-0054 群馬県太田市長手町1744 電話:0276-26–7511 FAX:0276-26-7510
先進諸国の精神科の在院日数は平均20日程度ですが、日本では1年以上長期入院している人が20万人に上ります。この中には、入院治療が必要ないのに、病院にとどまる「社会的入院」のケースも数多いとみられています。
限りある人生の時間が、入院によって失われているとしたら…。
【精神障害者の戦後 ―病院か地域か―、年表で振り返る過去】
1945年の精神衛生法制定から2015年の現在まで、精神保健・福祉に関する法律は幾度か改正されてきました。何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか。
統合失調症やうつ病など精神疾患は誰でもかかりうる病。精神障害者もそうでない人も、どうしたらともに地域で暮らせるのか。番組では、当事者たちのおかれてきた戦後の歴史をたどりました。
http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3500/219518.html
★「こらーる・たいとう」のカフェ/ピア活動について
こらーる・たいとうは、精神障害者・知的障害者などで作るNPO法人。
番組冒頭で紹介した不定休のカフェを運営している。 ※300円定食は月およそ2回の特別価格。通常は500円。
また、最後のVTRで紹介した、ピア活動を実施。「当事者ピアサポーター」として月に数回、精神科病院を訪問し、入院患者の退院意欲を引き出す交流を続けている。
【精神障害者ピアサポートセンター こらーる・たいとう 】
〒156-0057 東京都墨田区向島3-2-1向島パークハイツ1F
電話: 03-5819-3651 FAX: 03-5819-3652
ホームページ:http://www5b.biglobe.ne.jp/~koraru/
★「大阪精神医療人権センター」について
1985年に作られた、精神障害者の人権を守るために活動するNPO法人。
週に1度、患者や家族から電話相談を受け付けているほか、
大阪府内の精神科病院を訪問、調査結果を公表し、設備や環境の改善を促している。
ホームページ:http://www.psy-jinken-osaka.org/
【出演者インタビュー】山本深雪さん「精神障害者でも相談できるような人間関係が地域に少なすぎるのでは」
《山本深雪さんプロフィール》
NPO法人大阪精神医療人権センター副代表
――今回番組へご出演されて、どのようなことを伝えたいという思いがありましたか。
精神科の治療を受けながら地域で暮らしている人があなたの地域にもいて、隣で暮らしているんですよということですね。
――精神障害者の戦後70年の歴史を振り返って、いかがでしたか。
精神障害のあるひとりの人間が危ない事件を起こしたかもしれません。でも、その人がどうしてそこに至ってしまったかというと、恐らく周りとあまり会話ができていなかったからだろうなと思うんですよね。相談できる関係というのが地域に少なすぎるのではないか、そう振り返えらずに、「病院に閉じ込めておけばいい」という関係を築いてきたことは、すごくもったいないと思います。そうやってこれまでも多くの人を閉鎖された中に閉じ込めてきてしまっているので……。
――精神障害の病状は環境によって変わっていくことができるということでしょうか。
少しでも話をすることができれば、いろいろな病状が和らぐと思います。私の場合は、友達が「ちょっと最近疲れているんじゃない?」とか、「少し思い込みが強すぎない?」というふうに感じたことを素直に言葉で表現してくれたので、行き詰まらずに我に返ることができました。そういう友達がいなかったら、きっと私は小さな世界に閉じこもって、より苦しんでいたかもしれないし、病状も悪くなっていたかもしれません。そして、ご両親もお子さんの様子がいつもと違う気がしたら、見守ることも大切ですけど、ちょっとした声掛けもしてほしいなと思います。「なんかいつもと違うけど、眠れている?」とか、普通の一言があるだけでありがたいと思いますね。
――当事者の方にはどのようなことを伝えたいですか。
病状には波がありますから、いいときもあればしんどいときもある。でも、しんどい時というのはすっと通過していくものなので、2週間くらい様子を見ようというくらいの腹の太さで向き合っていただければいいのかなと思います。そして、やっぱりいい時の表情を思い出していただくことが大事です。あなたがしんどくなった時も大丈夫だよ、あきらめなくてもいいよとお伝えしたいですね。
――そういう精神医療にしていくことが大切ということでしょうか。
そうですね。精神障害者と世間の関係をそんなふうに変えていきたいなと思います。これまでは他人事と思ってしまっていたから、どこかに閉じ込めておいたほうがいいという対応をしてきたわけですよね。でも、自分のこととか、家族の中の身近な問題だと思うと、それでいいとは思えないはず。みんながそういう意識を持って考えてほしいですね。
★松沢病院 日本精神医学資料館について
実際に数年前まで使われていた病棟に、過去の松沢病院の建物の様子や、患者が作った芸術作品、治療に使われた
道具などが展示されている。見学は予約が必要。
東京都立松沢病院
〒156-0057 東京都世田谷区上北沢2-1-1 電話: 03-3303-7211
★三枚橋病院について
1968年、群馬県太田市に精神科医の石川信義氏が創設した、日本で初めての全開放型病棟の精神科病院。
当時の精神科病院の自由・開放化/地域化運動の先駆けと言われる。
※現在は全開放型ではなく、閉鎖病棟も併設する
番組で紹介した共同住居は、現在はグループホームとして病院から独立した社会福祉法人が運営。
赤城会三枚橋病院
〒373-0054 群馬県太田市長手町1744 電話:0276-26–7511 FAX:0276-26-7510
先進諸国の精神科の在院日数は平均20日程度ですが、日本では1年以上長期入院している人が20万人に上ります。この中には、入院治療が必要ないのに、病院にとどまる「社会的入院」のケースも数多いとみられています。
限りある人生の時間が、入院によって失われているとしたら…。
【精神障害者の戦後 ―病院か地域か―、年表で振り返る過去】
1945年の精神衛生法制定から2015年の現在まで、精神保健・福祉に関する法律は幾度か改正されてきました。何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか。
統合失調症やうつ病など精神疾患は誰でもかかりうる病。精神障害者もそうでない人も、どうしたらともに地域で暮らせるのか。番組では、当事者たちのおかれてきた戦後の歴史をたどりました。
http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3500/219518.html
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