20130627 はまなかあいづ

  • 11 年前
福島原発廃炉工程が正式決定
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた工程表の改訂を、政府と東京電力は、27日の会議で正式に決定しました。作業の前倒しを目指すとしながらも、現場の状況によっては、遅くなるおそれもあるとしていて、溶け落ちた核燃料の状態がわからないなか、工程表で想定するように廃炉が進むかどうかは不透明な状況です。福島第一原発の廃炉に向けた工程表は、透明性をもって廃炉を進めるため核燃料の取り出し時期などの目標を定めているもので、政府と東京電力は27日に開いた廃炉対策推進会議で工程表の改訂を正式に決定しました。
溶け落ちた核燃料の取り出しを始める時期について、1号機から3号機の号機ごとに差をつけているのが特徴で、最も早いケースでは、1号機と2号機でこれまで目標としていた平成33年末より1年半、前倒しした一方、現場の状況によっては、すべての号機で反対に遅くなるおそれもあるとしています。そして、核燃料を取り出した後の原子炉建屋の解体など、廃炉の作業は最長40年に及ぶとしています。
地元自治体からの要望を踏まえ、福島県や地元自治体などが参加する、廃炉の進め方や情報提供のあり方について意見を聞くための組織の設置なども新たに盛り込みました。茂木経済産業大臣は、「地元とのコミュニケーションを強化し、まずは、4号機の使用済み燃料プールからの核燃料の取り出し開始に向け、作業を着実に進めるとともに、号機ごとに溶け落ちた核燃料を取り出す時期を適切に判断してほしい」と指示しました。福島第一原発では、原子炉の底を突き破って溶け落ちた核燃料が、格納容器のどこに、どのような状態で存在しているかわかっておらず、工程表で想定するように廃炉が進むかどうかは不透明な状況です。
放射性ヨウ素の分布図を公開
原発事故で放出された放射性物質のうち、甲状腺がんを引き起こすおそれがある放射性ヨウ素が広がった範囲について、日米の研究機関が解析し、その分布図を公開しました。分布図は、日本原子力研究開発機構が、アメリカのエネルギー省と共同で、おととし4月に航空機から測定されたデータをもとに、事故で拡散し地表に付着した放射性物質のヨウ素131を分析して作成しました。分布図では、原発の周辺や北西の方向に向かって放射性ヨウ素が拡散していて、これまでに判明している放射性セシウムと同じ傾向がみられます。一方で、放射性セシウムとは異なり、原発の南側のエリアでも放射性ヨウ素の拡散が確認できます。原発事故で放出された放射性物質のうち、放射性ヨウ素は半減期が8日と短く、これまで拡散の範囲や量などは詳しくわかっていませんでした。原子力機構の鳥居建男研究主席は、「今後も分析を進め、住民の健康管理に役立てたい」と話しています。
放射性ヨウ素をめぐっては、甲状腺がんを引き起こす恐れがあるとして、福島県は当時18歳以下だったすべての子どもを対象に検査を行っています。分布図は、原子力機構のホームページで公開されています。
教員向け放射線教育研修会
原発事故の後、県内の学校で始まった「放射線教育」について、教員などが、指導内容や方法について理解を深めようという研修会が郡山市で開かれました。原発事故の後、県教育委員会は、放射線の基本的な知識や体への影響などについて学ぶ「放射線教育」を、県内の小中学校で年間2時間程度行うよう指導していて、昨年度は達成率が100パーセントに達しました。しかし、指導内容や時間数にばらつきがあることから、教員などを対象にした研修会を開いたもので、27日はおよそ100人が参加しました。このなかで、県教育委員会の担当者は、今年度から3年間にわたって放射線教育に力を入れる方針を示し、今後、指導者を養成するための研修会を開くことなどを説明しました。続いて文部科学省の担当者が、放射線は中学校の理科で学ぶことになっているが、原発事故を受けて、子どもたちも様々な疑問を持っているので、それに応えられるようなわかりやすい指導をすることが大切だと強調しました。会場には放射線に関する実験用のキットも用意されていて、参加した人たちが手にとっては使い方について質問していました。参加した北塩原村の中学校の教諭は、「一方的におしつけるのではなく、子どもたちの疑問によりそって指導しなくてはいけないと思いました。指導方法がわかった一方で、難しい面もあると感じました」と話していました。
飯舘村が災害公営住宅整備へ
飯舘村は、東京電力福島第一原発の事故で、村の外に避難している子育て世代を対象にした災害公営住宅を、福島市に独自に整備することを決めました。これは27日、飯舘村の菅野典雄村長が、福島市で会見を開いて明らかにしました。計画では、村が仮の役場や中学校を置いている福島市飯野町の工場跡地に、木造2階建ての住宅を23戸建設します。敷地の中央には子どもの遊び場がある集会所を設け、地元の住民などとの交流の場としても使うことができます。村は、放射線への不安から、すぐには村に帰れないと考えている若い親を中心に入居してもらう予定で、子育て世代の村外の拠点にしたいとしています。
建設費はおよそ8億円で、村ではことし9月から建設をはじめ、来年4月の入居開始を目指すことにしています。福島県によりますと、原発事故の避難者向けの災害公営住宅を自治体が独自に建設するのは初めてだということです。菅野村長は「災害公営住宅を整備して、村にすぐには戻れないと考えている人も強力に支援したい」と話しています。
どうふせぐ “生活不活発病”
主婦たちが作る「甘梅漬」
いわき市で、地元で採れる梅を使った特産品の「甘梅漬」の生産が始まり、農家の主婦たちが、例年より順調に育った梅の漬け込みに追われています。「甘梅漬」は、地元の梅を使って町おこしにつなげようと、いわき市小川町の農家の主婦たちが、20年ほど前から生産しています。甘酸っぱい味とかりっとした食感が特徴で、漬け込み作業がいまピークを迎えています。農協の作業場に集められた梅は直径4センチ前後と、玉のような実が目立ち、例年より順調に育ちました。
作業場には、27日も農家の主婦19人が集まり、梅から種を取り出したあと、梅とシソ、砂糖を交互に重ねて果実酒を流し込む甘梅漬作りに追われていました。梅やシソは放射性物質の検査を済ませて、安全を確認しているということです。主婦たちが漬け込んだおよそ1トンの梅は、3か月寝かせて熟成させ、10月から販売することにしています。グループのリーダーで、JAいわき市女性部高萩支部の大平たかよ支部長は「ことしは梅が豊作でみんな張り切っています。待っているお客さんに、おいしく食べてもらいたいです」と話しています。